IIJのeSIMを契約し実際に使ってみたレビュー【口コミ・評価】

今回IIJのeSIMを契約し、実際に使ってみたので、そのレビュー兼まとめです。

IIJのeSIMを契約し実際に使ってみたレビュー【口コミ・評価】

今年7月に国内企業で初となる日本国内でのデータ通信用eSIMをIIJがリリースしました。

このeSIMサービスはIIJのコンシューマー向け通信事業(いわゆる格安SIM事業)ブランドであるIIJmioのいちプランとして、まずベータ版という形で発表されました。

今回このIIJのeSIMを契約し、実際に使ってみたので、そのレビュー兼まとめです。

IIJmioのeSIMプラン詳細

IIJmio公式サイト内のeSIMページをみていただくと情報が載っていますが、簡単にポイントを整理していきます。

IIJmio公式サイトより

まず大事な点として、eSIMプランはデータ通信専用です。したがって通常の電話番号による電話やSMSの送受信はできません

次にネットワークとエリアですが、docomoの回線(ネットワーク)を使ったサービスで、利用できるエリアは通常のdocomoのエリアとまったく同じです。eSIMだからとか、格安SIMブランドだからといって利用可能なエリアが本家docomoと変わることはありません。docomoなので日本だとほぼ人口の99.99%以上カバーされているのではないでしょうか。エリアについては問題ないと考えてもらってOKです。

ライトスタートプランの内容と料金

現在IIJのeSIMプランはベータ版ということもあり、提供されているのはライトスタートプランのみです。

月のデータ容量(バンドルクーポン)は6GB、月額料金は1,520円で、初期費用が3,000円です。

尚、注意書きにある通りeSIM発行手数料として200円が初期費用とは別途発生します。

利用開始月(契約開始月)に関してはデータ容量、月額料金ともに日割りになります。

月のデータ使用量が6GBに到達すると、月末まで速度が最大200kbpsに制限されます(が、低速でもデータ通信は可能です)。ちなみに必要であれば200円/100MBで追加のデータ購入も可能。ここら辺はIIjmioの物理SIMと同じです。

現在、IIJmioは「eSIM楽しむキャンペーン」というのをやっており、初期費用の3,000円が2,999円引きの1円、そして月額利用料も1,520円から3ヶ月間1,000円引きとなります。

こういったキャンペーンをタイミングよく利用できれば、お得に契約することができるので、eSIMの契約を検討している方はTwitterなどでこういった情報をチェックしておきましょう。

ただしキャンペーンなしでも月に6GBで1,520円なのでかなり安い方ではあります。mineoや楽天モバイルなど他社の料金プランをみても6GBではだいたいどこも2,000円台のところがほとんどです。

他に重要な点としては、最低利用期間は契約月の翌月末までです。データ専用プランということもあり、実質最低利用期間はほぼないようなものです。なので比較的気軽にeSIMを試してみることができると思います。

利用可能端末

IIJmioが動作確認を行っている端末は、iPhone XS / XS Max / XR、 iPad Air(第3世代)、11インチiPad Pro、12.9インチiPad Pro(第3世代) 、iPad mini(第5世代)、Surface Pro LTE Advanced です。

また、先日発表されたiPhone 11、11 Pro、11 Pro Max、そして第7世代iPadも全てeSIMに対応しているのでIIJのeSIMを使うことができるはずです。

尚、どの端末であってもSIMロック解除端末、または純正SIMフリーである必要があります。

公式サイトに専用の動作確認端末ページがあるので、正確な情報はこちらをご確認ください。

これ以外でもeSIMに対応している(グローバルモデルの)Pixel 3、3aシリーズであれば使えるはずですが、IIJ側では動作確認は行っていないようです。

また、今後出てくるeSIM対応のiOS端末であればほぼ間違いなく使えるかと思います。またAndroidについてもeSIM対応であれば動作する可能性は高そうです。

契約する上での注意点

eSIMは現在技術的な制約から物理SIMカードのように簡単に他の端末に移すことができません。今後はそれも可能になるようになるとは思いますが、現状は新しい端末に買い換える場合などは新たにeSIM(プロファイル)を発行する必要があり、IIJmioではそれに料金がかかります。

この通り、SIMプロファイル再発行という名目で2,000円、そして手数料として別途200円がかかるようです。

なので近く機種変更するかも、という場合はこのeSIMの再発行手数料もしっかり考慮した方がいいかと思います。新しい端末に買い換えた場合のeSIM再発行については以下の記事にまとめています。

IIJmioのeSIMの再発行をやってみた【iPhone機種変更時の備忘録】
iPhone XSから11 Proに乗り換えたのでIIJmioのeSIMの再発行を行いました。

また、IIJmioの物理SIMカードで利用できるプランとは異なり、eSIMプランでは(複数のeSIMを発行して)データシェアはできません。また、eSIMから物理SIMへの変更もできないようです。

利用開始の手順

利用開始方法はサイトから申し込み(契約)をし、発行されたQRコードを読み取って端末に回線を追加する、というごく普通の流れで、特別変わったプロセスはありませんでした。

サイトから申し込み

公式ページの申し込みボタンから契約情報を入力していきます。IIJmioユーザーでない場合は会員登録が必要になります。

一般的な会員登録や回線契約の入力操作を行い、プロセスを進んでいくだけなので、迷うことはほとんどないかと思います。

実際に表示された請求金額がこちらです。

少し見にくいかもしれませんが、初期費用が合計で3,200円(税別)、月額料金が1,520円(税別)となっています。

申し込み完了直後に「thank you for your order」というタイトルの、契約内容を記したメールが届きました。そしてその数分後に今度は「ご利用開始のお知らせ」というメールが届きます。ここにはQRコード自体の表示はなく、記載されているURLにアクセスしてQRコードを表示させる、という流れでした。

URLはアクセスするとまずログイン画面が表示されるのでmio会員アカウントの情報でログインします。すると以下のようにQRコードが表示されました。

ちなみにQRコードへのアクセスが記載されているメールが若干遅れて届くのはeSIM(プロファイル)を生成する時間と考えられます。私が申し込みを行ったのは日曜日だったのですが、それでも数分で発行されたので、曜日や時間関係なくこれくらいの時間で処理、発行されるかと思います。

物理SIMカードの場合は店頭に行ったり、SIMが届くまで待つ必要があるので、それを考えるとeSIMは「すぐ」使い始めることができます。

端末に回線を追加

私は純正SIMフリーのiPhone XS(iOS 12.4)に追加したので、iPhoneでの操作方法です。

表示させたQRコードをパソコンなど別の端末で表示させ、iPhone XSの 設定 --> モバイル通信 --> モバイル通信プランを追加 からそのコードをスキャンします。

eSIM追加にはインターネット環境が必要です。iPhoneの場合、稀にこのコード読み取りでエラーが発生する場合があるので、できる限り安定した、できれば高速のWiFi環境で読み取りを行う方がいいでしょう。

IIJmioのeSIMをiPhone XSに追加

画面にしたがってタップしていけばIIJのeSIMを追加することができます。追加するeSIMの名称は自由に設定できますが、ここではIIJと入力しました。これは後から変更することも可能です。

追加が完了するとすぐキャリアの部分にIIJと表示されました。

この通り、表示は4GではなくLTEとなります。主回線の方はdocomo回線の物理SIMを挿しています。この場合、データ通信にIIJのeSIM、通話やSMSといった音声回線い物理SIMというDSDS(デュアルSIMデュアルスタンドバイ)という形になります。

ちなみにこのDSDS、Android端末でもAndroid 10から利用可能になるようです。

通信速度など

基本的にeSIMプランであっても特別に専用帯域を割り当てられているわけではないようなので、一般のIIJmioの物理SIMユーザーと同じ通信速度(通信品質)になります。

そしてIIJmioはいわゆる格安SIMブランドということで、ユーザーの利用が集中する平日のお昼などはかなり速度が落ちます。これは多くの格安SIMに共通することで、IIJmioも同じ、そしてその中のいちプランであるeSIMプランでも同じことです。

ということで、平日のお昼はどんな感じの速度かというと、

IIJ eSIM 通信速度 平日のお昼

このようにダウンロードは1Mbpsを大きく下回ります。アップロードに関しては快適な速度です。

格安SIMブランドでは限られた帯域にユーザーを詰め込んでいるので、トラフィックの集中する時間に低速になるのは致しかたないことではあり、IIJも定期的に帯域の増強を行っているようですが、平日お昼の時間帯はダウンロードが1Mbpsを下回るのは覚悟しておいた方がいいでしょう。

その他実際に使用していて速度が遅くなったのは、朝の通勤時間帯と夜です。

朝に関しては8時台にスピードテストを行った結果、このような結果となりました。

IIJ eSIM 通信速度 朝8時台

ランチタイムよりはまだ幾分ましではありますが、YouTubeなど動画ストリーミングなどは少し難しいレベルかと思います。Ping値やアップロードに関しては特に悪くありません。

次に夜ですが、これも8時台に2回スピードテストを行いました。

IIJ eSIM 通信速度 夜8時台

朝の8時台と同じような結果となりました。

今まで長年格安SIMを使ってきた身として個人的にはこれは想定範囲内の結果ではありますが、格安SIMを使ったことがない方などはこういった時間帯による速度低下は注意が必要です。

基本的には平日のお昼は普通にインターネットが使えないレベルで遅く、朝や夜も時間帯によっては数Mbpsといった低速になる可能性が高い、ということを想定しておきましょう。

そしてこれら利用者が集中しやすい時間帯以外は非常に快適に使えることもまた事実です。

IIJmio eSIM 通信速度 夜10時台

こちらは22時台のスピードテストの結果ですが、ダウンロードの速度も全く問題ないレベルです。

時間帯によってはこれ以上、大手キャリアにも引けを取らない速度になることもあります。

尚、スピードテストは全て神戸市中央区で行いましたが、地域による速度差は非常に微弱であろうと考えられます。Ping値もそこまで大きく変わらないはずです。

テザリング

IIJのeSIMではテザリング(インターネット共有)も利用できますが、事前にAPN設定が必要になります。

iPhone(iOS 12)の場合は 設定 --> モバイル通信 からモバイル通信プラン項目にある追加したIIJのeSIMをタップし、「モバイルデータ通信ネットワーク」から設定することができます。

IIJ eSIM APN設定

モバイルデータ通信とインターネット共有の2箇所に以下の値を入力することで、テザリングが使えるようになりました。

  • APN: iijmio.jp
  • ユーザー名: mio@iij
  • パスワード: iij

iMessage が使えない

設定 > メッセージ から「iMessageとFaceTime用回線」にIIJのeSIMを設定し、「iMessage」のトグルをONにしてみましたが、「アクティベート中です...」のテキストが表示されたままいっこうに完了しませんでした。

サポートに問い合わせてみましたが、IIJ側ではiMessageの動作確認は行っていないようで、「データ通信ができるのであればeSIMは正常。iMessageについてはAppleに問い合わせろ」の一点張り。

IIJのカスタマーサポートは残念すぎました。

ということでIIJのeSIMではiMessageは使えない可能性が濃厚です。

感想&まとめ

IIJのeSIMプランは公式サイトでも説明されている通り、大手キャリアの契約回線を音声メインで利用し、データ容量をIIJのeSIMで補うというユースケースをかなり意識しているように感じました。

IIJmio公式サイトより

このように大手キャリアの1GB程度のプランとIIJのeSIMをセットで使う、といった方法です。これにより大手キャリアの大容量データプランを契約するより節約できる、と謳っています。

もちろん昼間など速度が遅くなる時間帯はデータ通信にも大手キャリアのSIMを使う方が無難かと思うので、あくまでIIJのeSIMをデータ通信に使うのは平日昼間以外、というのが現実的です。

今回実際にIIJmioのeSIMを使った感想としては、プラン料金的にはかなり安価。そしてeSIMというほぼ瞬時に使用開始できるユーザーエクスペリエンスはやはり魅力的であり楽。ただ、通信品質に関しては所詮格安SIMであり、あまり期待すべきではないと思いました。ただし、自営業やフリーランスなどある程度自由に仕事の時間やスケジュールを調整できる方は低速になりやすいお昼や朝方を避けたりできるかと思うので、そういう場合は低速によるストレスもかなり抑えられるかもしれません。

あとはプランの種類がもう少し増えればいいかなと思うのと、eSIMプロファイルの再発行や初期費用が下がってくれれば嬉しいな、といったところです。

技術的なハードルはあるかもしれませんが、ぜひ電話番号やSMSにも対応してほしいものです。

最後に補足ですが、格安SIMを展開する国内企業はIIJ以外にも多数存在しますが、eSIMの提供を行うためにはHLR/HSSといった契約者情報管理システムを自社で保有する、俗に言うフルMVNOである必要があるため、IIJ以外ではなかなか難しいのが現状です。

大手キャリア3社はeSIMにかなり消極的と見られるので、IIJの次にポストペイドのeSIMを展開する日本企業で考えられるのは楽天モバイルくらいでしょうか。