【80ヶ国以上カバー】MTX ConnectのeSIMを日本で実際に使ってみた
最近リリースされたMTX ConnectのeSIMを実際に購入し、日本でも使えるデータプランをチャージ、使用した情報をまとめました。
MTX Connectはルクセンブルグに拠点を置くヨーロッパのMVNOです。今回は最近リリースされたMTX ConnectのeSIMを実際に購入し、日本でも使えるデータプランをチャージ、使用した情報をまとめました。
eSIMの購入プロセス
MTX Connectの公式サイトに物理SIMと並んでeSIMを購入できるボタンがあります。(サイトには日本語のオプションはなく、英語です。)
こちらのオーダーボタンから進んでいきます。購入はstarter packという形で、€5でeSIMを購入すると、€7分のクレジットが与えられます。eSIM(プロファイル)を無料で配ると結局使用しないユーザーが出てくるからでしょう。
eSIMなので商品の発送などは発生しないのですが、住所や電話番号の入力を求められます。ちなみに電話番号は日本の国コード 81 + 最初の0を省いた電話番号の形式で入力が必要です。また、ルクセンブルグの法律により、パスポートあるいは運転免許証の写真の添付が求められます。
支払い方法はクレジットカード、PayPal、AliPayの3種類。クレジットカードで使えるブランドはVISAとマスターカードのみでした。AMEX、JCBなどは使用できません。
支払いが無事完了すると、サイト上にオーダーID、SM-DP+ アドレス(手動でのプラン追加の際には必要)、アクティベーションコードと共にプロファイルダウンロードのためのQRコードが表示されます。もちろん、これらの重要な情報は入力したメールアドレスにも送信されます(メールは全て英語)。尚、自動送信されるメールの一つにメールアドレスを認証するためのリンクが含まれたものがあるので、リンクをクリックして認証を完了させておきましょう。
ここで購入したeSIMはデータプランが設定されていない、いわば空のeSIMになります。MTX Connectが提供するデータプランは以下の通り。実際にeSIMを利用する際にはいずれかのデータプランを後から購入する形となります。
- Optimal Daily: 350MB/24時間(世界80ヶ国以上)- €3,49
- Unlimited Daily: 無制限/24時間(世界80ヶ国以上)- €9,99
- Big Data: 欧州で2GBあるいは欧州以外で1GB/15日 - €14,99
- Monster Data: 欧州で4GBあるいは欧州以外で2GB/15日 - €24,99
Pay as you goを除くと、プリペイドプランとしては1日(24時間)限りのプランが2つ、15日間タイプのプランが2つとなっています。利用できる国はCoverageのページで確認できますが、数えたところ全部で80ヶ国以上、90ヶ国前後あるようです。ちなみに公式サイトのFAQにも記載していますが、Big DataとMonster Dataのプランに関しては、ヨーロッパで2GBあるいは4GBと、ヨーロッパ以外で1GBあるいは2GB両方使えるようです。なのでどちらか一方だけ(or)ではなく、正式には両方(and)となるようです。
2019/06/04: 追記
MTX Connectの提供するデータプランに変更がありました。現在は以下の5種類が選択可能です。(Pay As You Goタイプを除く。)
- Optimal Daily: 350MB / 24時間 - €3.49
- Unlimited Daily: 無制限 / 24時間 - €9.95
- 2GB / 7 Days - €14.95
- 4GB / 15 Days - €24.95
- 10GB / 30 Days - €60
ヨーロッパとそれ以外で使用できるデータ容量に違いがあったものが統一され、Big DataやMonster Dataといった名前もなくなりました。そして10GBプランが新たに追加されました。利用できる国に変更はありません。
全体的には前よりも改善された印象です。
以下に解説している実際のデータプランの購入に関しては以前のデータプランのものとご理解ください。(購入の流れや使用方法は変わっていないので、提供されているデータプラン以外の部分は全て参考にしていただけるかと思います。)
2019/06/13: 追記
昨日のアップデートで4GBプランの有効日数が14日に変更されました(1日マイナス)。
- 4GB / 14 Days - €24.95
また、モナコが利用可能国から削除されました。
通信プランの追加と各種設定
iPhoneでは、設定 > モバイル通信 > モバイル通信プランの追加 から送られてきたQRコードをスキャンすることで購入したeSIM(プロファイル)をiPhoneに追加することができます。このプロセスに関してはQRコードを使用する場合はどのeSIMであれ同じです。以下のApple公式ページにも詳細が載っていますので参考までに。
eSIM でデュアル SIM を活用する | Apple
尚、MTX Connectからのメールにも記載がありますが、一度使用したQRコードは別の端末で使ったり、移行することはできません。また、QRコードをスキャンしてモバイル通信プランを追加する時にはインターネット環境が必要です。
プランの追加が完了したら、SMSでも簡単な説明が届きますが、APN(アクセスポイント名)を手動で設定する必要があるようです。
2019/12/19: 追記
MTX Connectからアップデートがあり、iOS13.3以降は自動でAPNが設定されるようになったようです。
以下の手順は手動でAPNの設定が必要な場合とご理解ください。
iPhoneの場合は、設定 > モバイル通信 から、先ほど追加したモバイル通信プランをタップし「モバイルデータ通信ネットワーク」と進みます。
するとこのような入力画面が表示され、上からモバイルデータ通信、LTE設定、MMS、インターネット共有と項目があるので、それぞれのAPNという箇所に internet と入力します。ユーザ名、パスワードは空欄のままでOKです。
たぶん一番上のモバイルデータ通信だけでも通信自体はできるようになるかとは思いますが、LTEが使えなかったりインターネット共有が使えなかったりすると思うので、全部のAPNに入力するのが無難です。
あとは追加したMTX Connectの回線(ここではMTX Connectと名付けています)をモバイルデータ通信に使用する回線に割り当て、データローミングをONにします。
すると、画面にLTEという表示がでてくるかと思います。
MTX Connectは日本ではdocomoのLTEを掴むようです。
通信開始とデータプランの購入
MTX ConnectのeSIMの場合、eSIM(回線)を追加した時点eSIMがアクティベートされ、そのタイミングで自動でFree Chatというパッケージが有効になり、一部のチャットアプリが無料で利用できるようになります。
WhatsAppやWeChatはじめ、ヨーロッパで人気のTelegram、楽天が買収したViber、そして日本で圧倒的なシェアを誇るLINEも入っています。これらのチャットアプリはeSIMのアクティベートと同時に最大30日間利用できるようになり、またクレジットを追加(チャージ)すると90日間延長されます。有効なデータプランがない状態でも、クレジットの残高がゼロの状態でも無料で使用できます。ただし、画像や動画は送受信できず、テキストメッセージと絵文字のみのようです。
今回実際にいくつかのチャットアプリを使ってみたところ、WhatsAppは問題なく使えたのですが、LINEはなぜか送受信ができませんでした。(日本ではLINE以外ほとんど使われていないのでこのフリーチャットパッケージでLINEが使えないのは死活問題、ということでこれについてMTX Connectに問い合わせたところ、Androidは正常に動作するがiOSで不具合が発生しているとのことでした。)
日本で実際に上記のアプリ以外のデータ通信を行うためには、日本で利用できるデータプランを購入する必要があります。購入はMTX Connectのセルフケアポータルと呼ばれる、専用サイトあるいはモバイルアプリ(iOS、Android)から行います。
APNが正しく設定されており、MTX ConnectのeSIM(回線)がモバイルデータ通信に割り当てられておれば、ブラウザで任意のWebページ(例えばYahoo! Japanなど)にアクセスしようとするとMTX Connectのセルフケアポータルにリダイレクトがかかり、そのままデータプランの購入などが行えますが、ここではブラウザではなくMTX Connectのモバイルアプリ(iOSアプリ)を使ってみます。もちろん、ブラウザ上でセルフケアポータルを使っても同じことができます。
モバイルアプリは日本のApp Storeでも MTX Connect と検索すればヒットします。
アプリの正式名称は MTX Connect mobile internet となっています。
尚、ブラウザベースのセルフケアポータルでもモバイルアプリでも、MTX ConnectのeSIMを使ってアクセスした場合は自動でログインできます。
アプリを開いた最初のホームスクリーンはこのような感じで、様々な機能がありますがアプリ全体としては非常にみやすいデザインになっています。
現在eSIMがオンライン状態でアカウントのクレジット残高が€7、FREE CHATパッケージが有効になっていることがわかります。
ACTIVATE ANOTHER PACKAGE をタップすると、データプラン一覧が表示されます。
一番上のFREE CHATは既にACTIVE状態になっています。そして、€7のクレジット残高内で購入できるデータプランについては ACTIVATE というボタン表示、クレジットを追加しないと購入できないデータプランはTOP-UPというボタン表示になっています。TOP-UPボタンをタップすると次の画面で支払い方法を選択することができます。
BANK CARDとはクレジットカードのことで、そのほかVOUCHER(レシートのようなもの)、PayPal、AliPayのオプションがあります。ここで支払い方法を選択すると、次にTOP-UP(チャージ)する金額を選択するのですが、
最小単位が€10で、それ以降€50まで€10刻みでしか選択肢がありません。eSIMを€5で購入した際に€7分のクレジットをもらえますが、例えば日本で最大2GBのデータ量を使えるMONSTER DATAプラン(€24.95)を購入するためには、€20のチャージを行う必要があります。これは非常にうまいやり方で、どのデータプランを購入しても必ずといっていいほどクレジットがアカウントに残るので、継続的にMTX ConnectのeSIMを使う一つの理由になります。
今回はあくまで日本で試しに使ってみる目的だったので、€7のクレジット残高の範囲内で購入できる、OPTIMAL DAILYプラン(€3.49)を購入してみました。
OPTIMAL DAILYプランは日本を含む世界80ヶ国以上で、24時間中最大350MB使え、そのデータ量を使い切ったあとは速度が64Kbpsになるようです。こちらの画面下部のトグルボタンをスライドさせると、プランが正式にアクティベートされます。MTX Connectのモバイルアプリは一貫して情報が適切に表示され、操作性が高いです。
データプランがアクティベートされるとホームスクリーンにそれが反映されます。クレジットの残高が€3.51、Active packageがOPTIMAL DAILYとなっており、下半分にデータ残量と残り時間(23h 59m)がグラフで表示されます。
実際の通信速度、インターネット共有機能
日本の一般的な格安SIMでは速度が著しく低下することの多いお昼の時間にスピードテストを行ってみました。
Pingは135ミリ秒と特にいい値とは言えませんが、ダウンロードが15Mbps、アップロードが10Mbps超と、速度的には問題なく快適に使えるレベルです。
インターネット共有(テザリング)も問題なく使えます。ただし、各種設定のセクションで記載したようにインターネット共有用のAPNをあらかじめ設定しておく必要があります。
この後夜にもスピードテストを行ってみましたが、お昼とほとんど同じような結果となり、終始安定した通信速度でインターネットを使うことができました。
良い点、悪い点などまとめ
今回MTX ConnectのeSIMの購入から実際の日本での通信まで行った感想として、まず良いと感じた点は
- モバイルアプリの完成度が高く、使いやすい(自動ログインも嬉しい)
- Free Chatプランでデータ残量やクレジットがなくてもチャットアプリは使える(LINEについては現状Android端末のみですが)
- 80ヶ国以上と利用できる国が多い
- 通信速度も快適で、安定している
反対に少し残念な点は
- eSIM購入時にID写真の添付が必要(ルクセンブルグの法律で決まっているので仕方ない事ではありますが)
- 手動でAPNの設定を行う必要がある(iOS13.3以降は不要)
- クレジットでデータプランを購入するシステムのため、ほぼ常にデータプランの購入金額以上に支払っている事になる(大した金額ではありませんが)
- データプランの種類がやや少なく(特に大容量データプランや長期プラン)、値段は超安い訳ではない
といった感じです。旅行先やニーズによっては非常に使いやすいeSIMではあると思うので、ぜひ候補の一つとして考えてみてはいかがでしょうか。
尚、eSIMDB では渡航先で利用できるeSIMプロバイダーやデータプランを簡単に検索、比較することができます。海外旅行でeSIMを利用したい方はぜひ一度使ってみてください。