国際電話を無料、または安くかけられるSkypeの代替サービス10選
Skype難民のための国際電話アプリをリストアップしました。

長年にわたって国際電話を安くかけることができる便利な手段として親しまれてきたSkypeですが、2025年5月をもってサービス終了となりました。
そのため、これまでSkypeクレジットを使って国際電話をかけていた人にとっては、代わりとなる後継サービスを見つける必要があります。
この記事では、そんな方々のために、固定電話や携帯電話へのスムーズな国際通話が可能な、信頼性の高い人気の代替サービスを複数紹介します。
各サービスの特徴や料金、そしてメリット・デメリットなどを比較しながら、ニーズに合った最適なサービスを見つけるヒントとなれば幸いです。
用語解説
VoIP(Voice over Internet Protocol):インターネット回線を使って音声通話を行う技術。従来の電話回線ではなく、ネット経由で通話が可能。
PSTN(Public Switched Telephone Network):固定電話や携帯電話の音声通話に使われてきた従来型の公衆電話網のこと。いわゆる普通の電話回線。
PBX(Private Branch Exchange):企業やオフィス、コールセンターなどで使われる電話交換機のこと。複数の電話回線を集約し、外線と内線との接続や管理を行う。近年ではクラウド型のクラウドPBXも普及している。
Viber(Viber Out)
Viber はインターネットを通じてViberユーザー同士で無料通話やメッセージのやり取りができる、LINEのようなメッセージングアプリです。現在は日本の楽天が買収し、サービスを運営しています。
このViberには Viber OutというVoIP機能があり、これを利用することで世界中の固定電話や携帯の電話番号に電話をかけることが可能です。

サービスの特徴
Viber Outでは、発信者はインターネット(Wi-Fiまたはモバイルデータ通信)さえあればいつでもスマートフォンやタブレットから音声通話が可能です。相手側がViberを使っていなくても、そしてもしインターネット接続がなかったとしても、Viber Outは通常の電話回線(PSTN)につながるため、従来の電話と同じように通話をすることができます。
通話品質は「クリアで聞き取りやすい」と評価されることが多いですが、VoIP電話のため、インターネットの品質に依存するところが多いと予想されます。
Viber Outは音声通話専用サービスのため、SMSやMMSメッセージ(ショートメッセージ)を送信することはできません。また、一般の電話網(PSTN)からの着信を受ける機能はなく、発信専用です。(*以前は、一部の国で通話やSMSを受信できる有料の「ローカル番号」サービスが提供されていましたが、現在は終了しています。)
また、電話番号は付与されないこと、そして発信時には自分の電話番号は相手に表示されないこと(Caller IDに対応していない)ことにも注意が必要です。
料金とプラン
Viber Outには、1分単位で支払う従量課金プランと、月額の定額サブスクリプションプランの2種類があります。
利用者はViber Outクレジットと呼ばれるクレジットを購入・使用するか、あるいは特定の国・地域向けの通話プランを利用することができます。
クレジットを利用する場合は、発信先の国、そして固定電話か携帯電話かによって通話料金が異なります。ただし、多くの国で通話は1分あたり数セント程度と手頃です。クレジットを使う場合は月額プランに加入する必要はなく、利用した分だけクレジットが消費されます。
月額サブスクリプションプランは国によって料金が異なりますが、複数のプランが提供されている国も多くあります。これらのプランは特定の国へ定期的に長時間通話する場合、クレジットを利用するよりも安くなります。
以下は一例として、アメリカへ通話を行う場合の料金です。クレジットの場合は1分当たり$0.019(1.9セント)から、月額プランの場合は$1.99/月と$5.99/月の2つが提供されています。

通話料金はViber Outの公式サイトから検索し確認するか、あるいは通話料金リストから確認が可能です。
なお、Viber Outでは月額プランの1週間無料トライアルなどのキャンペーンが実施されていることもあります。
対応国・地域
Viberアプリは190か国以上で利用可能で、Viber Outも世界中のほぼどこからでも使用できます。Viberアプリとインターネットさえあれば、すぐに国際電話をかけることができます。
ただし、一部の国ではVoIPサービスに制限があることが公式サイトで明記しています。たとえば中国、エジプト、パキスタン、UAE(アラブ首長国連邦)などでは、現地のネットワーク制限や規制により、正常に利用できない場合があります。これらの例外を除けば、Viber Outはほとんどの地域で問題なく利用可能です。
Viberのアカウントは、登録した電話番号に基づいて国コードが設定されます。これは一部のプランで「国内通話」とみなされるかどうかに関係しますが、実際の通話料金には影響しません。
なお、Viber Outでは緊急通報はできず、プレミアム番号や特別課金番号への通話にも対応していない点にも注意が必要です。
メリットとデメリット
Viber Outのメリット
Viber OutはViberアプリから直接、世界中の電話番号に発信できるという使い勝手の良いサービスです。加えて、国際通話レートが低価格であるというコストパフォーマンス、そして必要であれば定額サブスクリプションプランも選択できる柔軟さも大きなメリットと言えるでしょう。
通話品質はクリアで安定していると評価されることが多く、連絡先リストからの発信やダイヤルパッドでの入力など、操作性にも優れています。また、iOSでもAndroidでも、そしてパソコンでも利用することができます。
さらに、通話相手がViberを使っていなくても、インターネット環境がなくても利用でき、発信者側はWi-FiさえあればSIMカードやeSIMも不要です。
Viber Outのデメリット
Skypeとは異なり、Viberでは着信用の電話番号が付与されません。あくまで発信専用のサービスであり、相手もViberを使っていない限り、着信通話を受けることはできません。
また、SMSの送信や留守番電話(ボイスメール)の受信、発信者番号の表示(Caller ID)といった機能も利用できません。
さらに、1回の通話には4時間の時間制限があります。ただし、ほとんどのユーザーにとっては十分な長さといえます。万が一、通話が制限時間に達した場合は、再度かけ直す必要があります。
なお、当てはまるケースは少ないでしょうが、一部の国やネットワークではViber Outの通話がブロックされたり、干渉を受けたりする可能性があります。(ただしこうした制限はViber特有のものではなく、現地の規制によって多くのVoIPサービスに共通して起こり得るもの。)
おすすめの利用シーン
Viber Outはシンプルに国際通話を低価格でかけたい(発信したい)個人ユーザーに最適なサービスと言えるでしょう。電話番号の付与やSMS機能などは提供されませんが、海外旅行時に現地のレストランに電話をしたり、あるいは日本から海外のコールセンターや航空会社、あるいは旅行代理店に電話するといったケースでは問題なく利用できるはずです。
海外旅行者にとっては、現地の電話番号がなくてもWi-Fiやモバイルデータ通信を使えば、気軽に固定電話や携帯電話に発信できるという点で、非常に便利です。
また、個人間で連絡を取り合う場合に相手がすでにViberを使っている場合は、Viber同士の通話を無料で続けることもできます。これはLINEやFacebook Messengerと同じような使い方と言えます。そして、アプリ外の相手(固定電話や携帯番号)に通話したいときだけ、Viber Outを使えば、すべての通話を1つのアプリでまとめられます。
Microsoft Teams 電話
あらためて説明するまでもないかもしれませんが、Microsoft Teamsはチャット・ビデオ会議・ファイル共有・アプリ連携などが集まったビジネス向けコラボレーションプラットフォームです。
Microsoft Teams 電話 はこのマイクロソフト チームズに統合されたクラウドベースの電話システムで、Skypeの通話機能を多く引き継いでおり、一般的にはSkypeの後継サービスとして位置づけられています。(ただし個人ユーザーにはかなりハードルは高いです。)

特徴
端的にいうと、Microsoft Teams 電話はTeamsにクラウドPBXを組み込み、社内外の通話を一つのプラットフォームに統合できるサービスです。PC、スマートフォン、専用IP電話機を問わず、同じ代表番号で発着信でき、リモートワークでも固定電話の設置およびセットアップが不要です。
基本機能として発着信、転送、保留、ボイスメールを備え、さらに自動応答や通話キュー、ボイスメールの文字起こしなど高度な機能も利用できるため、従来のPBX同等かそれ以上の機能リッチなビジネスフォンと言えます。
また、ユーザーやライセンスは Microsoft 365 管理センターで一元管理できるため、増員や組織変更時の番号付け替えも数クリックで完了するので管理コストが低く、大企業やコールセンターでも利用が可能なソリューションです。
料金とプラン
Microsoft Teams 電話の利用料金は、大きく分けて「Microsoft 365ライセンス費用」「Teams 電話 ライセンス費用」「Microsoft 通話プラン ライセンス」の3つが発生します。
Microsoft 365ライセンス費用は、その名の通りで、料金はMicrosoft 365プランに依存します。ライセンスを持っていない場合は、Teams電話導入時に新規でMicrosoft 365を契約する必要があります。
Teams 電話 ライセンス費用は、Microsoft 365ライセンス費用とは別途、ユーザー数分追加購入する必要があります。料金は1ユーザーあたり月額約1,100円。*ただし、Microsoft 365 E5やOffice 365 E5の場合はこの費用は不要。
最後にMicrosoft 通話プラン ライセンス費用ですが、こちらはTeams 電話を使って外線電話を利用する場合に必要です。日本ではMicrosoft提供の通話プランが利用できないため、SoftbankやNTTなどの通信事業者のサービスを別途契約することになります。料金は050番号であれば月額300円/ユーザーからの従量課金、市外局番付き番号の場合は月額800円〜1,100円/ユーザーの定額制が標準的な価格です。(*ただし法人テナントしか購入できず、個人テナントでは入手不可という情報あり。)

メリットとデメリット
Teams 電話のメリット
Microsoft Teams 電話は単なる音声通話アプリではなく、チャット・ビデオ会議・ファイル共有・コラボレーションツールなどをひとつにまとめた統合プラットフォーム兼ビジネス電話ソリューションです。そのため、通話機能だけでなく総合的なコミュニケーション手段を求めるユーザーにとって魅力的と言えます。MicrosoftはTeamsを「最新のコミュニケーションとチームワークのための総合プラットフォーム」のように表現しており、その多機能性が強みと言えるでしょう。
さらに、Teams 電話はSkypeの主要な通話機能(1対1通話やグループ通話など)を引き継いでおり、Microsoftによって今後も継続的にアップデートされることはほぼ間違いありません。Microsoft公式ブログでも述べられているように、TeamsはSkypeユーザーにとっての次なる受け皿として位置づけられており、今後もサポートと機能追加が期待できます。
Teams 電話のデメリット
Teams 電話の大きなデメリットのひとつは複雑な料金体系でしょう。三層構造で発生するライセンスは一般にはかなりとっつきにくく、複雑に感じられる傾向にあります。以前のSkypeにあったような従量課金制(使った分だけ支払う方式)はTeams 電話では利用できず、代わりに月額費用が必須なため、たまにしか通話しないユーザーにとっては割高に感じたり、不便に感じる面があります。
また、何よりMicrosoft Teamsの統合ソリューションのひとつということで、主に企業向けの色が濃いということもデメリットとして挙げられます。Teamsを利用するにはMicrosoftアカウントでのサインインが必須で、ライセンスの管理や電話番号の設定などに対応する必要があり、ただ手軽に電話をかけたいだけのライトユーザーにとっては手間が多く、非常にハードルが高いと言えます。
おすすめの利用シーン
いち個人として(プライベート利用を前提に)Teams 電話をSkypeの後継サービスとして利用するのは現実的にかなり難しい面があるものの、Microsoft 365をすでに契約している法人経営者、あるいは個人事業主やフリーランスには有効なソリューションになり得る可能性はあります。
もちろんビジネスで国際電話をよく使うという場合は、法人で契約、導入することが可能です。

OpenPhone
OpenPhone は主にチームや企業向けにつくられたクラウドベースの電話サービスです。米国やカナダの電話番号を取得し、世界中で通話やテキスト送信を利用することが可能です。なお、メインのターゲットユーザーではないものの、個人のプライベート用途でも利用は可能です。

特徴
OpenPhoneはスマートフォンやパソコンから利用できるモダンな電話サービスで、アメリカやカナダを中心に多くのユーザーに支持されています。
ユーザーには米国またはカナダの専用電話番号が付与され、一般の固定電話や携帯電話との間で自由に通話やメッセージのやり取りが可能です。
また、SMSや画像・動画付きのMMSにも対応しており、従来の電話回線の代わりとして十分に機能します。
米国およびカナダ国内での通話は、どのプランでも無制限で利用できるほか、その他の国への国際通話にも対応しており、通話先に応じた分単位の料金で発信することができます。
現在のところ、提供される電話番号は北米地域(米国・カナダ)に限られており、それ以外の国のローカル番号は取得できません。ただし、すでに所有している米国またはカナダの番号をOpenPhoneに移行すること(ポートイン)は可能です。
加えて、着信やボイスメールの受信、挨拶メッセージの設定、ボイスメールの内容を自動で文字起こししてテキストとして確認する機能なども利用可能です。さらに、通話の録音や転送、番号のブロック、高度な通話フィルタリング機能なども備えており、細やかなコミュニケーション管理が可能です。
OpenPhoneのアプリはiOS、Android、そしてPC版も提供されており、どのデバイスからでも通話履歴やメッセージ内容が同期されるため、場所を問わずスムーズに対応できます。ビジネス用途はもちろん、プライベートで第二の電話番号を持ちたい場合や、北米とのやり取りが多い方にも便利な電話サービスとなっています。
料金とプラン
ビジネスの規模やニーズに応じて選べる3つの料金プランが用意されています。(使用した分だけ支払う従量課金制は提供されていません。)
最も低額な「Starterプラン」は、月額19ドル(年間契約の場合は15ドル)で、米国およびカナダ内での無制限通話とメッセージ送信、1ユーザーにつき1つの電話番号、ボイスメールの文字起こし、番号のポートインなどの機能が含まれています。このプランは小規模なチームや副業、個人利用に最も適したプランと言えるでしょう。
「Businessプラン」は月額33ドル(年間契約なら23ドル)で、Starterプランのすべての機能に加えて、通話の自動録音、転送、カスタム着信順序の設定、AIによる通話要約、CRMツール(SalesforceやHubSpotなど)との統合、詳細な通話分析やレポート機能などが利用可能になります。特にチームでの連携や、顧客対応の質を重視するビジネスにとっては、使い勝手のよいプランです。
さらに大規模なチームや、セキュリティやサポート体制を重視する企業には「Enterpriseプラン」が用意されています。このプランは個別見積もりとなりますが、専任のアカウントマネージャーによるサポート、監査ログの提供、優先サポートなど、組織規模に応じた柔軟な対応が可能です。

いずれのプランでもアメリカおよびカナダ内での無制限の通話とテキスト送信が含まれており、追加の電話番号は月額5ドルで取得可能です。
アメリカ・カナダ以外の国への通話は、発信先に応じた1分ごとの料金が別途発生しますが、多くの場合で数十セント程度の手頃な料金となっています。*国際SMSも同様に追加料金が発生します。
なお、OpenPhoneは7日間の無料トライアルを提供しており、クレジットカードの登録なしで気軽に試すことができます。
メリットとデメリット
OpenPhoneのメリット
OpenPhoneはシンプルで直感的に使えるデザインと操作性を兼ね備えた電話サービスです。通話やメッセージのやり取りがひとつのアプリ内で完結し、統合インボックス機能によって、すべてのコミュニケーションを一元管理できます。
そして、やはり大きな特徴のひとつは実際に発着信できる電話番号が付与され、今使っているスマートフォンでそのまま利用できる点です。新たにデバイスやSIMカードを用意する必要がなく、手軽に2つ目の電話番号(セカンドナンバー)を持てるのは非常に便利です。
また、アメリカ・カナダ国内の通話とテキストがすべて基本料金に含まれており、追加料金なしで無制限に使えるのも魅力のひとつでしょう。これらの地域で頻繁にやり取りを行うユーザーにとっては、コストパフォーマンスの高い選択肢と言えます。
さらに、通話の自動録音やボイスメールの文字起こし、メールやSlackとの連携といった、一般的な個人向けサービスではあまり見られないビジネス寄りの機能も充実しています。
OpenPhoneのデメリット
OpenPhoneの弱点のひとつは、月額プランでのみ提供されており、従量課金制がないことです。このため、たまにしか通話しない人には向いていないかもしれません。
もうひとつの欠点は、取得可能な電話番号が北米の番号に限定されていることです。アメリカやカナダ以外のローカル番号が必要な場合、現時点ではOpenPhoneは選択肢になり得ません。
また、日本語には対応していないので、日本人にとっては言語もデメリットになり得ます。
おすすめの利用シーン
OpenPhoneは主にスタートアップや中小企業向けにつくられていますが、セカンドナンバー(電話番号の使い分け)が必要な個人ユーザーも利用できるサービスです。
たとえば、仕事・フリーランス・副業用に専用の電話番号を持ち、プライベートの番号を分けたい場合に適しています。
また、アメリカやカナダの電話番号、または北米での無制限通話・テキストを必要とする海外在住のビジネスパーソンや旅行者にとっても非常に便利です。銀行の認証コード(OTP)の受信、クライアントとの連絡など、通信はすべてデータ通信を使って行われるため、世界中でそれらを利用できます。
ただし、たまに国際通話をしたいだけという人にとっては、コスト面で最適とは言えないかもしれません。
Zoom Phone(Zoom 電話)
Zoom Phone は、Zoomが提供するクラウド型のVoIP電話システムです。Zoomのエコシステムと統合されており、ビデオ会議やチームコラボレーションで使われているZoomアプリ内で、通話の発信・着信、SMSの送受信、ボイスメールの利用がすべて行えます。

サービスの特徴
Zoom Phoneは、Zoomのプラットフォーム上で利用できる本格的なクラウド電話システムで、VoIPを使って一般の電話番号との通話が可能です。
各ユーザーには専用の電話番号または内線番号を割り当てることができ、49の国と地域ではローカル番号を取得することもできます(日本では050番号を利用可能)。また、現在使用中の番号をそのまま移行(ポートイン)することも可能です。
通話に必要な基本機能はひと通りすべて備わっており、通話の転送や保留、転送先の細かな設定、複数人での会議通話などもスムーズに行えます。また、ボイスメール機能も標準で搭載されており、メッセージ内容は自動で文字起こしされ、アプリ内やメールを通じて確認できます。
SMS機能も提供されていますが、現在はアメリカとカナダの電話番号に限定して利用可能。それ以外の国では、現時点でSMSは対応していません。
Zoom Phoneはこうした基本機能に加えて、通話のオンデマンド録音や自動録音、着信時のスクリーニング、着信拒否リスト、自動応答(IVR)、保留音のカスタマイズ、共有回線グループの設定、さらにはSalesforceなどのCRMツールとの連携といった、より高度な機能も提供しています。
Zoom PhoneはZoomのデスクトップアプリやモバイルアプリから利用できるほか、対応するIP電話機でも同じ番号で受発信できるため、複数のデバイス間で一貫したユーザー体験が得られるサービスでもあります。
料金とプラン
Zoom Phoneは、法人・個人どちらでも利用可能な月額サブスクリプションサービスで、料金やプラン内容は国によって異なります。
日本では、従量制通話、グローバルセレクト、ビジネスプラスの3種類から選択可能となっています。

最もシンプルな「従量制通話(日本)」はユーザーあたり月額10ドルで、050番号を取得して国内通話を使った分だけ支払うモデルです。国際通話も別料金の従量課金が基本ですが、追加オプションを契約すれば対象19か国への無制限発信も利用できます。
「グローバルセレクト」はユーザーあたり月額20ドルで、無制限の国内通話が付いてきます。このプランでは050番号のほか、03や06など日本の市外局番付きの0ABJ番号も取得可能。国際通話は従量課金または追加オプションで無制限発信と、ここは従量制通話プランと同等です。
最上位の「ビジネスプラス」はZoom PhoneとZoom Workplaceビジネスを組み合わせたセットプランで、22.49ドル/月の年払い(月払いの場合は26.99ドル)。このプランはZoom会議やチャットをビジネス全体で活用しつつ、電話基盤も丸ごとクラウド化したい企業向けと言えます。
いずれのプランでも追加オプションを契約しない場合、国際電話は基本的に従量課金で、国別の具体的なレートはZoom Phone の国際通話料金と SMS/MMS 料金のページで確認が可能です。
メリットとデメリット
Zoom Phoneのメリット
Zoom PhoneはZoomのビデオ会議やチャットなどの機能と一体化した本格的な電話サービスのため、個人ユーザーであってもビジネス向けシステム並みの機能を備えたクラウド型の電話回線を利用することができるという点が特徴です。
国際電話料金もリーズナブルで、従量課金でもそこまで長時間電話することがなければ通話代としてはそこまで高額にはなりにくいでしょう。
また、国際電話だけではなく、日本では050番号や03等の電話番号を取得して国内通話も利用することができ、それらすべてをZoomアプリ内で完結できます。
プランによっては国内通話無制限、Zoom Workspaceビジネスとセットといったお得な機能や使い方もでき、スマートフォン、パソコン、対応デスクフォンなど、マルチデバイス対応も強みです。
Zoom Phoneのデメリット
Zoom Phoneは個人ユーザーでも利用可能ですが、もともとはビジネス向けにつくられたサービスのため、一般的な通話アプリのような手軽さや直感的な操作性は感じにくいかもしれません。
また、無料プランはなく、ユーザーごとに月額サブスクリプションの契約が必要で、たまにしか通話しないライトユーザーにとってはこの月額コストが割高に感じられる可能性があります。
さらに、Zoomの管理者設定と連携しているため、純粋な個人利用という観点では初期設定等もやや手間がかかる場合があります。この点も、ビジネス利用を前提とした設計によるものです。
おすすめの利用シーン
Zoom Phoneは、信頼性が高く多機能な電話回線が必要な人には相性の良いサービスです。たとえば、プライベートの番号とは別に2つ目の電話番号を持ちながら、それを国際電話向けにも使いたい場合などに向いています。公式にはビジネス向け電話システムとして提供されていますが、ITリテラシーの高い個人ユーザーであれば副回線や個人ビジネス用途にも十分活用できます。
また、日本に居ながら、他国の電話番号を取得したい場合にも利用できます。たとえば、家族や顧客とのやり取りのためにオーストラリアの番号を持ちたいといったケースでも、Zoom Phoneなら多くの国でローカル番号を取得できるため対応可能です。
とはいえ、たまに国際電話をかけるといったカジュアルな個人利用の場合には、Zoom Phoneは多機能すぎ、かつ割高に感じるケースは多いでしょう。
Talk360
Talk360は、世界の携帯電話と固定電話へ発信できる国際通話向けVoIPアプリです。相手側はスマートフォンもインターネット接続も不要で、通常の電話と同じ感覚で着信を受けられます。

サービスの特徴
Talk360は国際音声通話に特化した個人向けアプリです。スマートフォンにインストールしたTalk360アプリから、世界中の固定電話や携帯電話に直接発信できます。
遠距離や僻地への通話でも高音質を実現できるよう、現地の中継設備を利用して、できるだけ安定した通話ルートを確保しているようです。
Talk360は個人利用を前提とした発信専用サービスであり、ユーザーに電話番号は付与されません。そのため着信やSMSの送受信、ボイスメールには対応していませんが、発信機能に特化することで操作を極めてシンプルにしています。
アプリでは番号を入力するか、連絡先を選ぶだけで通話を開始でき、誰でも使いやすい作りとなっています。
なお、自分の電話番号が相手に表示される発信者番号通知機能(Caller ID)にも対応しています。
通話クレジットの購入はアプリ内または公式サイトで行うことができ、さまざまな通貨と決済方法に対応しています。また、初回1分間の無料通話トライアルも提供されており、購入前にサービスの品質を試すことができます。
Talk360はWi-Fiやモバイルデータ通信など、あらゆるインターネット環境で動作し、SIMカードや電話番号の登録は必要ありません。
料金とプラン
Talk360は使った通話分だけ支払う従量課金制で、月額料金やサブスクリプションは一切ありません。アプリ内や公式サイトで通話クレジットを購入し、1分単位で通話料金がクレジット残高から差し引かれる仕組みです。
通話料金は発信先の国や、固定電話(Landline)か携帯電話(Mobile)かによって異なります。公式サイトでのレート確認は非常に難しいですが、アプリからは容易に確認できます。
たとえば、イギリスへの発信は携帯電話へが$0.15ドル/分、固定電話へが$0.10ドル/分からとなっています。

そのほか、インドへの通話は0.04ドル/分から、ブラジルへは0.03ドル/分からなど、非常に安い国も多くあります。
月額の定額プランなどはありませんが、Talk360ではたまにプロモーションやパッケージ割引を実施しており、一定以上の金額をチャージした場合や友達紹介プログラムを利用した場合に、ボーナスクレジットが付与されることもあります。
新規ユーザーには、1分間の無料通話トライアルが提供され、その後は必要に応じてクレジットを追加できます(5ドルや10ドル単位での購入)。
メリットとデメリット
Talk360のメリット
Talk360はシンプルさ・利用のしやすさに重点を置いたサービスと言え、月額料金不要で、アプリをインストールし、クレジットを追加すればすぐに国際電話をかけられるという使い勝手の良さ & ハードルの低さは魅力の一つです。
また、アプリは直感的なUIデザインとなっており、操作がしやすいのも特徴です。

サービスコンセプトとしては発信専用の機能を絞ったシンプルなものとなっていますが、発信者番号通知機能(Caller ID)やサービスを試せる1分間の無料通話の提供といった利便性も兼ね備えています。
そして肝心の国際通話の料金も安価で明瞭、かつクレジットの購入もアプリからアプリ内課金でワンタップで可能という点も評価ポイントと言えるでしょう。
Talk360のデメリット
上述の通りTalk360はシンプルさや使い勝手の良さが魅力ですが、そのぶん機能面に制限もあります。
電話番号の提供はなく、あくまで発信専用の音声通話に特化した設計となっているため、折り返し電話等の着信には利用できません。また、SMSやボイスメールといった機能もありません。
料金面では、1分ごとの通話料金は手頃ではあるものの、無制限通話プランがないため、長時間通話をするユースケースではコスト面で他のサービスと比較して割高になる可能性があります。
最後に、利用端末に関して、Talk360はモバイルアプリ専用で、デスクトップ版は提供されていません(ただし、クレジットのチャージは公式サイトから可能)。
おすすめの利用シーン
Talk360は、折り返しなど着信を取る必要がない前提で、海外のカスタマーサポート(コンタクトセンター)やビジネス(企業)にたまに通話するといった利用シーンに適していると言えます。
特に海外旅行者にとっては、航空会社、ホテル、銀行などに他国から一時的に連絡を取りたいときに、高額なローミング料金を気にせず通話が可能です。通常の国際通話料金が高すぎる場合、便利な代替通話手段として活用します。
Talk360は従量課金制で月額契約等が不要なため、万が一のために入れておける通話アプリとしても優れています。たとえば最小限のクレジットを購入しておき、緊急時に必要な通話だけ行うことができます。

Google Voice
Google Voice はGoogleが提供するVoIPサービスで、ユーザーは提供されるバーチャル電話番号を利用し、通話の発着信、SMSの送受信、ボイスメールの管理などができます。
個人利用向け(アメリカ国内では無料)と、Google Workspaceを通じた企業向け(有料プラン)がありますが、サービス自体は現在ベルギーやカナダ、フランスなど欧米を中心とした15カ国程度で正式提供されているものの、日本は公式サポート対象外です。

特徴
Google Voice(個人向け版)では、通話・テキストメッセージ(SMS)・ボイスメール用に、無料でアメリカ国内の電話番号を取得することができます。そしてその番号を利用し、Google Voiceのモバイルアプリやウェブからインターネット経由で世界のどこからでも通話の発着信が可能です。
そして着信を自分の通常の電話番号に転送する機能もあるため、アプリを使っていないときでも着信を取りやすいようになっています。
また、留守番電話は自動文字起こし、通話のスクリーニング(事前確認)、迷惑電話の自動ブロック、発信者番号表示の制御といった従来のPBX機能を標準で備えています。さらに、Google MeetやGoogle カレンダーと統合されており、会議招集の際にVoice番号を自動挿入したり、カレンダーの予定に基づいて着信ルールを切り替えたりすることも可能です。
SMSについては米国とカナダの電話番号あての送信に限定されており、日本を含むその他の国へはメッセージを送ることができません。また、受信については海外番号からも可能ですが、短縮番号や認証用ワンタイムコードを配信するショートコードには対応していません。
料金
個人利用の場合、アメリカ在住アカウントであれば番号取得と米国・カナダ向けの通話とテキスト送信が無料で、国際電話は国別レートに基づく従量課金となります。
国際電話については、例えば日本あての発信は1分当たり2セントから、イギリスあては1分あたり1セントからと非常に安価で、購入したGoogle Voiceクレジットから自動で差し引かれます。
法人利用向けのGoogle Workspace版は、ユーザーごとの月額料金プランとなっており、10ドル/月のStarter、20ドル/月のStandard、30ドル/月のPremierというプラン展開となっています。
対応地域
上述の通り、Google Voiceの個人向け版は公式にはアメリカ国内のみで利用可能です。アカウントを作成するには、アメリカの電話番号で認証を行い、Google Voiceの番号を取得する必要があります。
一度セットアップが完了すれば、世界中どこからでもアメリカおよびカナダへの通話は無料で行うことができます。
Google Workspace向けのGoogle Voice(法人向け)については、欧米の一部の国で提供されていますが、日本は対象外です。
メリットとデメリット
メリット
Google Voiceは無料でアメリカの電話番号を取得できる点、そしてアメリカおよびカナダ国内での通話・テキスト送信が無制限で無料という点で非常に魅力的です。
そして国際電話の従量課金も低価格な料金設定となっています。
また、Googleの各種サービス(アプリ)とシームレスに連携する点や、基本的な電話機能は一通り搭載されている点もメリットです。
デメリット
一方で致命的とも言える最大の弱点は、やはり個人向けはアメリカ在住者のみに限定されており、法人向けも日本は対象外となっていることです。登録にはアメリカの住所と電話番号が必要なため、日本のユーザーにとっては実質的に利用が難しいサービスとなっています。
また、もうひとつの欠点は、多くのGoogle製品と同様に、Google Voiceのカスタマーサポートは基本的にセルフサービス形式で、ヘルプ記事やユーザーコミュニティフォーラムを頼る形となっており、直接的なサポートがあまり期待できない点です。
Rebtel
Rebtel(レブテル)はスウェーデン発のモバイルVoIPサービス企業が提供する国際電話サービスです。インターネットに依存せず安定した電話回線を使う独自方式による、190か国以上への安価で高品質な通話で定評があります。

サービスの特徴
Rebtelは国際音声通話に特化したサービスで、最大の特徴は「ローカル電話回線」を経由する独自のハイブリッド方式です。Wi-Fiやモバイルデータを使った一般的なVoIPアプリとしても機能しますが、通話を自国のローカル番号経由で接続することもできるため、遅延や音質の悪化といったVoIP電話特有の問題を回避しやすくなっています。
例えば日本からアメリカに電話をかける場合、一度日本国内の電話番号に接続してから国際回線に転送されるため、利用者は国内通話のような品質と料金で国際電話が可能になる、という仕組みです。なお、ローカル番号に接続ができない場合などは、従来型のVoIP方式での通話にも切り替えられます。
相手側には通常の電話として着信が届き、発信者の電話番号もそのまま相手に通知されるため、怪しまれることもなく、また相手側が折り返し電話をかけ直すこともできます。
対応プラットフォームはAndroid & iOSがメインですが、公式サイトのマイページから発信操作を行いPCから通話することも可能。アプリのインターフェースは日本語を含む14言語に対応しています。
料金とプラン
Rebtelでは従量課金モデルと定額プランの2種類が利用可能です。
たまに国際電話をかける程度のユーザーには、従量課金プラン(Pay-As-You-Go)が適しており、クレジット(Rebtel Credits)を購入して使った分だけ料金がそこから消費される仕組みです。このプランでは約200カ国への通話が可能で、料金は発信先によって異なりますが、例えばアメリカへの通話は1分あたり1セント、インドへの通話は1分あたり2.39セントと、全体的に非常に低価格です。
なお、クレジットは一般的に5ドルからチャージ可能で、有効期限は12ヶ月です。
定額プランは特定の国限定の「Country Unlimited」、そして世界50カ国の固定・携帯に無制限通話が可能な「Global Unlimited」の2つがあります。
例えばイギリスへの通話では、Country Unlimitedとして30日間、90日間、180日間の3つから選ぶことができ、料金は5ドル〜20ドルとなっています。

加えて、イギリスはGlobal Unlimitedのサブスクリプションプラン(12ドル/月)の50カ国に含まれているため、こちらも選択可能です。
メリットとデメリット
Rebtelのメリット
Rebtelの最大の利点のひとつは、ローカル回線接続により音質の良い国際電話が利用できることです。前述のように多くの場合インターネットを介さず各国の電話回線を経由して接続するため、通話品質は通常の電話と同等レベルと評価されています。VoIPの音質に不安を感じる人にとってはもってこいのサービスと言えるでしょう。
さらに、通話相手がインターネット環境やアプリを持っていなくても、通常の電話として受信できるため、相手を選ばずに連絡できるのも大きな魅力です。
次に、料金が非常に低価格かつ無制限通話プランも用意されており、どんなユーザーでも利用頻度に応じてコストを最適化できる柔軟さもメリットです。たまにしか国際電話しない人も、長時間あるいは頻繁に国際電話をする人も、それぞれ従量課金または定額プランを選ぶことができます。
Rebtelのデメリット
Rebtelは専用の電話番号の付与やSMSの送受信には対応していないため、フル機能の電話アプリとは言えません。あくまで発信専用の音声通話に特化したサービスです。
また、通話自体は世界中で利用可能ですが、Rebtelの特徴的な機能であるローカルアクセス番号は一部の国にしか対応していません。そのため、対応していない国においてはインターネット接続を介した一般的なVoIP通話となります。
さらに、1分ごとの通話料金は全体的に手頃ですが、必ずしもすべての発信先において最安というわけではありません。従量課金プランを利用している場合、発信先によっては他のサービスの方が安く済むこともあります。
最後に、モバイルアプリに関しては、シンプルで使いやすいという口コミもあるものの、初回サインアップでの電話番号認証ステップの不具合などが報告されてるようです。
おすすめの利用シーン
Rebtelは国際電話の頻度を問わず、通話品質を重視する人にとって非常に便利なサービスです。旅先や出先のインターネットが不安定な場所から銀行や航空会社などに電話をかけるといったシチュエーションでも、ローカル回線経由の高音質な通話が期待できます。
他にも海外赴任者や留学生が、日本の実家の固定電話や銀行・役所などに連絡する際にも利用できます。例えばマレーシア在住の日本人が、日本の病院やスマホに不慣れな高齢の家族に電話したい場合など、Rebtelなら日本のSIMカードやeSIM回線なしに国内通話のように電話をかけることができます。そして相手は普通の電話を受けるだけなので安心です。
Yolla
Yolla(ヨラ)はSkypeと同じくエストニア発のサービスで、スマートフォンから世界中のあらゆる電話番号に格安で国際電話をかけられるモバイルアプリです。また、SMS送信にも対応しており、インターネット接続さえあればどこからでも利用が可能です。

サービスの特徴
Yollaの基本機能である国際通話では、アプリから世界190カ国以上に発信が可能で、一般的なVoIP電話サービス同様にインターネット経由で発信を行うため、高額な国際通話料金やローミング費用を回避は発生しません。また、携帯電話・固定電話の両方に対応し、相手がYollaアプリをインストールしている必要はありません。
使い方は非常に簡単で、アプリ内のダイヤルパッドで国際電話番号(+から始まる国番号付きの番号)を直接入力するか、スマートフォンの連絡先から相手を選んで発信できます。発信前にアプリ画面上でその国・番号への通話料金(1分あたりの料金)が明示されるため、事前に料金を確認することができるようになっています。

Yollaの大きな特徴の一つが Caller ID(発信者番号通知)で、ユーザーがYollaに登録した元の電話番号がそのまま発信者番号として相手に表示されます。これにより相手に不信感を抱かれる心配が少なくなるほか、必要であれば相手が折り返し電話をすることも可能です。ただし、Yolla自体は発信専用の通話サービスのため、Yollaアプリ自体で着信を受け取ることはできず、着信時は従来の電話ネットワーク経由となります。
(LINE等と同様、Yollaユーザー同士であればアプリ内で発着信が無料で可能です。)
なお、Yollaは国際SMSの送信にも対応しており、アプリから直接海外の携帯番号宛にテキストメッセージを送ることができます。料金は一律で1通あたり$0.15(15セント)と手頃で、通常のキャリア経由で国際SMSを送るより割安です。
この他にも、友人へのクレジット送金(友達のYolla残高に追加入金する機能)友達紹介プログラムによるボーナスクレジット獲得、そして24時間365日対応のカスタマーサポートなど、様々な特徴を備えています。
料金
Yollaではプリペイド方式のクレジット制を採用しており、事前に自分のアカウントに残高チャージを行い、その残高から通話ごとに1分ごとの料金が差し引かれる仕組みです。
通話料は発信先の国、そして固定電話か携帯電話かによって異なるものの、基本的に非常に安価に設定されており、公式サイトのRatesページ、あるいはモバイルアプリから簡単に確認が可能です。
例えば、フランスへの通話は1分あたり$0.075から、イギリスへの通話は1分あたり$0.06から、シンガポールへは1分あたり$0.067となっています。
通話開始時に接続料などの追加料金や固定費は一切かからず、(使用したインターネットのデータ通信量以外は)表示された分単位の料金のみで通話できる明朗会計です。
クレジットは$4から購入が可能で、有効期限はなし、マイアカウントページから購入すると15%のボーナスクレジットが付与されるなどの特典もあります。
支払い方法も柔軟で、クレジットカードやデビットカードはもちろん、Apple PayやGoogle Play経由のアプリ内課金、PayPalにも対応しています。さらに、残高が不足した際に自動でチャージを行うオートトップアップ機能も設定でき、通話中に残高切れで切断されてしまうリスクを防ぐことができます。
なお、Yollaは従量課金制での利用が一般的ですが、頻繁に特定の国へ電話をかけるユーザー向けに月額の定額プラン(サブスクリプション)も用意されています。ただしこれは現状新規ユーザー限定のWelcome Offerとなっているようで、対象の国もナイジェリア、ガーナ、インド、ケニアなど25カ国程度となっています。
メリットとデメリット
Yollaのメリット
発信相手に自分の電話番号を通知できるCaller ID機能はYollaの大きな長所の一つです。国際電話向けのシンプルなSkypeの代替サービスの中には機能が限定的でこのCaller IDに対応していないものも多いため、それらと比較するとこれはYollaを選ぶ一つの大きな理由になり得ます。
また、使い勝手の良さもYollaが高評価を得ているポイントです。アプリのインターフェースはシンプルで直感的に操作でき、2015年にはその洗練されたデザインがイギリスのApp Design Awardsで表彰された実績もあります。電話帳連携に対応しており、自分のスマホの連絡先がそのままYollaアプリ内に同期されるため、新たにIDを検索したり連絡先を入力し直す手間もありません。発信もワンタップでスムーズに行え、広告表示や不要なソーシャル機能も一切なく通話に集中できるよう設計されています。
そのほか、見落とされがちなメリットとして、Apple Payやアプリ内課金などの決済手段に対応しているため残高(クレジット)のチャージが非常に簡単かつ安全であることが挙げられます。また、クレジットの有効期限がない点もユーザーフレンドリーな点でしょう。(*1年以上利用がない場合はアカウント凍結の措置はありますが、期限内にログインすれば再有効化可能です。)
Yollaのデメリット
まず着信に関する制限として、Yollaは基本的に発信専用の通話サービスであり、外部の電話回線(一般電話や携帯)から直接Yollaアプリに電話をかけて着信を受けることはできません。050番号やSkype番号のようなバーチャルナンバーあるいはセカンドナンバーは提供されないため、誰かがあなたの番号に折り返し電話をかけてきた場合、それは通常の電話ネットワーク経由となります。
また、緊急通話や一部特別な番号への発信ができない点も注意すべき点です。Yollaアプリからは110番や119番などの緊急通報機関への通話、そしてフリーダイヤルやナビダイヤル等への通話はサポートされておらず、それらの番号への発信は通常の電話回線を利用する必要があります。ただしこれはYollaに限ったことではなく、多くのVoIPアプリも同様です。
そのほか、日本人にとっては日本語に対応していない点もハードルになり得ます。
おすすめの利用シーン
Yollaは「安く手軽に国際電話をかけたい」というニーズに応えるシンプルかつ必要十分なサービスといえ、これまでSkypeを使っていたユーザーにとって有力な代替サービスとなり得ます。
Skypeの有料通話と比較し、通信品質に関しては未知数ながら、料金の透明性(確認のしやすさ)はSkypeより高く、また、通話レートにおいても特に携帯電話あてではSkypeよりも安価に設定されているケースも多いはずです。さらに、発信時に相手に自分の番号が表示される Caller ID 機能や国際SMS対応も便利で、Skypeの後継候補として十分なサービスといえます。
ホテルや航空会社、レストラン予約など海外出張や旅行での一般的なユースケースで便利なことはもちろん、ビジネスやリモートワークで各国のクライアントと電話する機会が多い場合もYollaは有用です。相手には毎回同じあなたの番号が表示されるため違和感がなく、また予期せず長電話となった場合でも通話料は良心的です。

Dingtone
Dingtone は自分の電話番号とは別に新たに「セカンドナンバー」を取得し、それを利用して低価格な国際電話かけたりテキストメッセージを送信できるモバイルアプリです。
自分の電話番号を使用しない、隠せるという点でYollaなどとはまた違った利便性と特色を持ったサービスで、iPhoneとAndroid両方に対応しています。

サービスの特徴
Dingtone最大の特徴は、自分専用の電話番号(セカンドナンバー)をアプリ内で取得できることです。アメリカやイギリスをはじめ、世界20か国以上の番号から好きな番号を選ぶことができます。
例えばアメリカの電話番号を取得すれば、アメリカにいる相手にはその米国番号で発信されるため国際電話ではなく現地通話として通知されます(発信者番号として自分のDingtone番号が相手に表示されます)。また、取得したDingtone番号あてには通常の電話と同じように着信を受けられるため、一般的な電話番号と同等に利用することができます。
そして、留守番電話や着信拒否、コール転送などキャリア電話と同等の機能も備わっており、アプリ内でボイスメールの再生やスパム電話ブロック設定も可能です。
また、Dingtoneは通話だけでなくSMS(ショートメッセージ)の送受信もサポートしており、アプリから世界230以上の国と地域へテキストメッセージを送信でき、国際SMS料金も割安に設定されています。このため、SMS認証が必要なアプリやオンラインサービスであってもDingtone番号で登録することができます。
なお、相手もDingtoneを使っていればアプリ同士でLINE等と同様に無料の通話が可能で、グループ通話などにも対応しています。
料金
まず通話料については、Dingtoneも他の多くの国際電話向けアプリと同様に事前チャージのクレジット式ですが、広告動画を視聴したり毎日アプリにチェックインすることでクレジットを無料で獲得できるという珍しい特徴があります。このため、実質無料で国際通話やSMS送信を利用することも可能になります。
もちろん、必要な分のクレジットをアプリ内課金でワンタップで購入することも可能です。
国際電話の料金は公式サイトのRate & Planページから確認できますが、表示通貨はセントではなくDingtoneクレジットなのでやや難解です。1クレジットがいくらかは購入金額によって異なりますが、例えば最小単位である200クレジットを購入する場合日本円で800円のため、1クレジットあたり4円相当ということになります。ということで、表示レートに4をかけると日本円のレートに(簡易)換算することができます。

次にDingtoneで取得できる電話番号についてですが、電話番号は月額課金のサブスクリプションとして提供されています。国や地域によって料金は異なりますが、例えばアメリカ・イギリス・カナダの電話番号は月額4.99ドル、その他の欧州諸国(フランスやスウェーデンなど)は月額9.99ドル、オーストラリアなど一部の地域では月額19.99ドル程度となっています。なお、年払いにすることで割引になるケースもあります。
取得した電話番号を維持するには月額料金を支払い続ける必要がありますが、アプリから自動更新の停止や期間の選択も可能になっています。
料金に関する補足として、Dingtone番号あてに着信する通話やSMSについても一部クレジットが消費されることには注意が必要です。また、Dingtoneの通話にはコネクションチャージ(接続料)が設定されており、通話が接続されさえすれば極端に短い通話でも所定の接続料分のクレジットが差し引かれます。
メリットとデメリット
Dingtoneのメリット
Dingtoneの最大のメリットはやはりセカンドナンバーによる利便性とプライバシー保護でしょう。プライベートと仕事用といった使い分けはもちろん、プライベートのみでも自分のメインの電話番号を使用したくない場合の第二の電話番号として取得・使用できるというのはメリットを発揮します。例えば、ネットオークションやフリマアプリなどのアプリやウェブサイト上で電話番号を知らせる場面でも、自分の本当の番号の代わりにDingtone番号を教えることでプライバシーを守ることができます。また、迷惑電話や迷惑SMSが増えてしまった場合でも、その番号だけ変更・破棄すれば被害を最小限に抑えられます。このように、Dingtone番号は「使い捨て」感覚でも運用可能で、電話番号を気軽に公開・共有できることが利点です。
次にクレジットについて、一般的なクレジット購入とは別に、時間があるときに広告動画閲覧などを行うことで無料でクレジットを獲得することもできるため、「お金で買う or 時間を使って貯める」という形で自分に合った節約スタイルを選べる柔軟性もメリットの一つです。
そのほか、国際SMSの送受信も利用できる点や、複数デバイスでの同時利用もサポートしている点も、ユースケースによっては利点となるでしょう。
Dingtoneのデメリット
Dingtoneはセカンドナンバーを簡単に取得できる点が最大のメリットと言えますが、この番号は永久に自分の所有物になるわけではなく、利用状況に応じて継続使用が制限される場合があります。公式によれば、Dingtone番号はあくまで同社からユーザーへの貸与という位置付けであり、一定の条件を満たさない場合は番号の利用権が取り消される可能性があります。また、このDingtone番号は取得できる国番号が限られており、例えば日本の電話番号は取得できません。さらに、番号の維持には利用の有無に関係なく、月額費がかかることもコスト面の懸念となり得ます。
次に、クレジットについては一般的な購入以外にも広告動画閲覧で無料で取得することができる点をメリットで挙げましたが、この広告動画の多くは依存性の高いオンラインゲームやギャンブルなどの広告、さらには一部卑猥な広告も含まれており、健全な広告だけではないことはデメリットと言えます。
そして、これはこの記事で紹介するSkypeの代替サービスの過半数に言えることですが、日本語には対応していないため、英語で利用する必要があります。
おすすめの利用シーン
海外出張や海外旅行で頻繁に特定の国に渡航する場合などは、Dingtoneで電話番号を取得し、同じ番号を継続的に保持・利用しつつ、低価格で国際電話もかけることができるので便利です。例えばハワイに仕事や旅行でよく訪れるといった場合、アメリカの番号をDingtoneで取得しておけば、現地の同僚やホテル、レストランなどへの連絡も便利に行え、さらに必要であればハワイから日本などへも安価に国際電話をかけることができます。
そのほか、例えば長期である国に滞在する、あるいは移住するといった場合には現地でモバイル回線(電話番号)を契約・取得するのが一般的ですが、どこの国でもメインとなるプライベート番号は非常に重要なため、ある種使い捨てできるセカンドナンバーをDingtoneで取っておき、メインの番号を使う必要がない場合は安全のためにDingtone番号を使用する、といったことも可能です。
Yadaphone
Yadaphone はウェブブラウザから簡単に国際電話の発着信ができる、シンプルで使いやすいVoIPアプリケーションです。2025年にスタートした新しいサービスのため、今後さらに進化する可能性を秘めています。

サービスの特徴
YadaphoneはWebブラウザ(ChromeやSafariなど)から国際通話を行うサービスのため、ノートパソコンやスマートフォンなどデバイスを問わず利用でき、アプリのインストールや月額契約は不要です。
Yadaphoneでは複数のVoIPインフラプロバイダーを介してPSTN(公衆交換電話網)に接続する仕組みとなっており、一般的に通話は同社が保有する多数の電話番号のいずれかを通じて発信されます。そのため相手側には発信者の地域に応じて、その番号が表示されます。ただし、ユーザー自身の携帯電話番号を発信者番号(Caller ID)として設定することも可能で、その場合追加料金はかかりません。番号の認証が完了すれば、その登録した番号が相手に表示されるようになり、相手は必要に応じてその番号に直接折り返し電話をかけることもできるようになります。
着信を受けるには、仮想電話番号(バーチャル番号)を購入する必要があります。着信はブラウザ上でそのまま受けることもできますが、設定を行えば自分の携帯番号などへ転送することも可能です。設定はシンプルで、通話転送はいつでも有効化できます。
また、Yadaphoneはチームや企業向けのエンタープライズ(法人)アカウントにも対応しています。エンタープライズプランでは、管理者が組織を作成し、チームメンバーを追加して、通話状況を分析ダッシュボードで管理・確認することができます。このダッシュボードでは、通話先、応答率、コスト管理などの詳細なデータを可視化することができます。
料金
Yadaphoneの通話料金は従量課金制で、あらかじめクレジットを自分のアカウントにチャージし、通話した分の料金が1分単位でそこから消費されます。(月額契約や隠れた手数料などは一切ありません。)
他のSkype代替サービスの多くと同様に、通話料は発信先の国、そして固定電話か携帯電話かによって異なります。Yadaphoneの公式サイトでは通話料計算ページが用意されており、そこから簡単にレートのチェックが可能です。

たとえば、アメリカへの発信は1分あたり$0.02、日本へは1分あたり$0.14からとなっています。
なお、通話中には1分あたりのリアルタイム料金が表示されるようになっています。
クレジットは$5、$20、$50、$100という単位で購入でき、金額が大きくなればボーナスが付与されます。たとえば、$50のクレジット購入には5%のボーナスが含まれています。
また、残高が設定した金額を下回った際に自動でクレジットを追加できる自動チャージ機能も利用可能で、通話の途中で残高切れによって途切れるのを防ぐことができます。さらに、残高がマイナスになっても通話がすぐに切断されないよう、5分間の猶予時間も設けられています。
電話番号については、アメリカやカナダの番号が月額$1.95で取得可能で、現地住所の証明などは必要ありません。また、購入時には希望する市外局番(エリアコード)を自分で選ぶことができます。
なお、法人向けエンタープライズプランは$150から利用可能で、個人利用よりも15%割引された通話料金が適用されます。
メリットとデメリット
Yadaphoneのメリット
上述の通り、料金は従量課金制で、月額契約や長期契約の縛りが一切ないため、必要な時に必要な分だけ使うことができ、無駄がありません。また、通話料金は事前にレート計算機で確認できる上、通話中もリアルタイムの料金が明確に表示されます。
また、発信時に自分の携帯番号を発信者番号として表示できるCaller ID機能も搭載されているため、相手の自分の携帯番号を表示させることも必要に応じて可能となっています。
さらに、北米(アメリカまたはカナダ)の電話番号が必要なユーザーには、月額固定料金で仮想電話番号を提供しており、購入に際して現地の住所証明などは不要です。
Yadaphoneのデメリット
Yadaphoneは現在、音声通話機能のみに対応しており、SMSやボイスメールには対応していません。そのため、通話に加えてメッセージ機能も必要とするユースケースには向いていません。
また、サービスの利用はWebブラウザに限定されており、モバイルアプリは現時点では提供されていません。(ただし今後リリースされる可能性は高い。)
そして仮想電話番号についてはアメリカおよびカナダの番号に限定されており、それ以外の国の番号を取得することはできません。
おすすめの利用シーン
Yadaphoneは海外旅行者やリモートワーカー、海外在住者などのうち、月額契約などの縛りなく国際電話を利用したい人、かつたまに通話をする程度のカジュアルユーザーに適したサービスです。
また、ブラウザベースで動作し、アプリのインストールが不要という点で、例えば他人のデバイスを一時的に借りて通話をする必要があったり、インストールできるアプリが制限されているデバイスを使用する場合、あるいはiPhoneやAndroid以外の端末を使用する場合は都合が良いかもしれません。
そのほか、小規模〜中規模のチームにとっては、エンタープライズプランは長期契約のコミットの必要がないにもかかわらず、個人利用よりも低価格な通話レートを利用でき、さらには通話状況をダッシュボードで管理・確認することができるため、他の電話サービスと比較しても導入しやすく、かつメリットを感じやすいソリューションと言えます。