米国T-MobileがeSIM向けサービスの提供を開始、まずはプリペイドプランから

AT&T、ベライゾンに続き、ついにアメリカで3番目のキャリアとしてT-MobileがeSIM対応を正式に発表しました。

米国T-MobileがeSIM向けサービスの提供を開始、まずはプリペイドプランから

 AT&T、ベライゾンに続き、ついにアメリカで3番目のキャリアとしてT-MobileがeSIM対応を正式に発表しました。利用できる端末は、iPhone XS、XS Max、XRです。T-Mobileの発表によると、提供されるプランは海外からの旅行者を主なターゲットにしているということで、日本からアメリカへ旅行あるいは出張する方には嬉しいニュースです。

eSIM専用アプリ「T-Mobile eSIM」

今回T-MobileはeSIM向けの専用iOSアプリをリリース。「T-mobile eSIM」という名前でApp Storeで検索するとヒットします。アプリは無料で、日本でもダウンロード可能です。

 ダウンロードしたアプリを起動すると、まずT-Mobileを象徴するマジェンタ(マゼンタ)色がスクリーンいっぱいにあらわれ、Checking your phone compatibility... というテキストが表示されます。ここで端末の互換性がチェックされます。

 もし端末がeSIMに対応していないモデルだと、何らかのエラーがここで表示されるかと思いますが、今回テストしたiPhoneはXS、iOSのバージョン(12.1.1以上)も問題ないということで、次の画面に遷移。尚、T-Mobile以外で購入したiPhoneの場合はSIMフリーであることを確認してください。

ここでメールアドレスの入力を求められます。また、FAQへのリンクも画面下部に表示されます。入力を済ませ、Nextをタップします。

次に端末を主に使用する場所の住所(Primary place of use)の入力を求められます。これは税金の申告(徴収の管轄)などの目的もあるようです。アメリカの住所が必要のようなので、ここでは仮にトランプ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワー ニューヨークのアドレスを入れてみました。Nextをタップすると、利用可能なプランが表示されます。

 プランについてはあとで詳しくまとめます。好みのプランを選択し、Nextをタップすると、決済画面が表示され、支払いとなります。

クレジットカードはVISA、MasterCard、AMEX、ディスカバーが使用可能。JCBは不可のようです。

今回は実際にプランの購入は行わず、アプリ上のこの画面までの流れを確認してみましたが、支払い完了後はアプリ内完結でT-Mobileのプロファイルインストールが完了し、eSIMを使えるようになるみたいです。


3つのプリペイドプランが利用可能

現在利用可能なプランは以下の3つです。

Tourist Plan

30 USドル: 21日間、1000分の通話、無制限のメッセージ(text)、2GBのデータ

Simply Prepaid

40 USドル: 30日間、無制限の通話とメッセージ(text)、10GBのデータ

T-Mobile ONE Prepaid

70 USドル: 30日間、無制限の通話・メッセージ・データ

ざっと内容をみる限り、料金的にはそこまで安くはない印象です。まあアメリカの場合はプリペイドSIMカードを買ってもある程度の値段はするので、SIMを購入する手間と差し替える手間を考えると、料金的に同じくらいであればアプリからサクッと使えるeSIMの方がやはり魅力的でしょう。

名前的に1番目のTourist Planが旅行者向けのようですが、データ容量が2GBということなので、数日程度、1週間弱の旅行向け、という感じでしょうか。Simply Prepaid、T-Mobile ONE Prepaidになればもちろん料金はある程度しますが、10GB、あるいは無制限のデータがついてくるので、かなり安心感のある容量です。通話とメッセージに関してはどのプランでもかなり余裕がある内容ではないでしょうか。たぶん多くの方が必要なデータ量からプランを選ぶ流れになりそうです。

プリペイドプランの注意点

詳細(Plan details)に記載されていることで、以下の2点が少し気になりました。

  • テザリングのスピードは3G
  • 50GB以上使用した場合は、速度制限がかかる場合あり(T-Mobile ONE Prepaid)

 アメリカにおけるT-mobileの3G回線の通信速度がいまいちわかりませんが、日本と同じような感じであれば、テザリングでもまあ使える範囲ではあるかと思います。50GB以上使用した場合に当てはまるユーザーは非常に少ないと思いますし、データを大量に使ったユーザーに対して速度制限をかけることも通信業界ではよくあることですね。

また、どうも今回は物理SIM(nano SIM)で既にどこかキャリアと契約しているiPhoneが対象のようで、T-Mobileのプリペイドプランのみでの利用(eSIMのみの利用)はできない可能性が高いです。とはいえ現在はプリペイドプランのみなので、あまり問題にはならないかと思います。


旅行者にとっては魅力的なT-Mobileのプラン

AT&T、ベライゾンにやや遅れをとって今回eSIM対応したT-Mobileですが、プリペイドプランを、しかもQRコード不要のアプリ完結型で提供してきたので、旅行者にとっては現状、アメリカでのeSIM利用はT-Mobile一択ではないでしょうか。もう少し価格が下がるか、プランが増えてくれればベターですが。2018年10月の同社の発表では、T-mobileの4G LTEは米国で最速らしいので、速度的にも快適に使えるはずです。

また、ポストペイドプランの提供もじき行うようなので、そうなれば米国在住者にとってはeSIMでのモバイル契約の第3の選択肢になってきます。

ちなみにeSIMに関しては大きく取り残された形となったSprintですが、SprintのeSIM対応はもう少し時間がかかるようです。