eSIMでよくある不具合や問題とその解決方法まとめ【トラブルシューティング】

eSIMおよびインストール用QRコードに関するトラブルと可能性のある解決方法をまとめました。

eSIMでよくある不具合や問題とその解決方法まとめ【トラブルシューティング】

今まで40以上のeSIMを、15ヶ国以上で使ってきた自身の実体験やその他見聞きした情報をもとに、eSIMを追加する、あるいはeSIMでデータ通信を行う時によくある問題とその解決方法をまとめました。

ネットワーク側の問題、端末側の問題など原因は様々で、場合によっては過去に発生していた問題で現在はOSのアップデートなどで改善されている事も含まれているかもしれませんが、とりあえず知っている限りの情報を載せています。

eSIMを追加できない、あるいは繋がらない、という時のトラブルシューティングの参考にどうぞ。

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1️⃣ 「この通信事業者からのモバイル通信プランは追加できません」というメッセージが表示される

eSIM(プロファイル)を端末にインストールできないケースです。上記のメッセージはiOS / iPadOSでのものですので、Android端末だと異なるエラーになるかと思います。

原因その1: SIMロック

端末にSIMロックがかかっていることが考えられます。Appleなど製造元(メーカー)から直接購入した端末の場合はこの可能性はほとんどないですが、docomoやSoftBank、auなどの通信事業者(携帯会社)を通して回線とセット契約で購入した端末の場合は注意が必要です。SIMロックはそれら通信会社が独自に実施しているもので、このSIMロックのかかっている端末はeSIM含め、他の会社のSIMが使えません。この場合はSIMロック解除を行う必要があります。

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iPhoneの場合、iOS 14以降では、設定 > 一般 > 情報の「SIMロック」のセクションで簡単にSIMロックがかかっているかを確認できます。

現在日本では総務省主導でSIMロック解除周りの法改正が進んでユーザーにとっては解除しやすい環境が整いつつあります。SIMロック解除が必要な端末をお持ちの方はぜひ一度契約している通信会社に問い合わせてみてください。

原因その2: MDM

もし会社から支給されている端末の場合は、モバイルデバイス管理(MDM: Mobile Device Management)というシステムがインストールされている可能性があります。

これにより上記のSIMロックに近い何らかの制限が端末にかかっている可能性がある場合は、一度勤め先に確認を行ってください。


2️⃣ 「このQRコードはもう有効ではありません」と表示され、eSIMを追加できない

QRコードの読み取りはできるものの、コードが有効ではない旨の表示が出て、eSIMを追加できないケースです。

iPhoneでは以下のようなメッセージが一般的です。

eSIMは追加できません。このコードはもう有効ではありません。詳しい情報については通信事業者にお問い合わせください。

この場合、すでに一度使われたQRコードである可能性が高いです。セキュリティーの関係上、現在ほぼ全てのeSIMプロファイルインストール用のQRコードは一度しか使用できないようになっています。以前に一度でもそのQRコードを使ってeSIMをダウンロードした、あるいはダウンロードしようとしたが途中でキャンセルした場合などは、そのQRコードはそれ以降使えなくなります。

こういったメッセージが表示された場合は、QRコードを発行したプロバイダーに問い合わせを行ってください。


3️⃣ モバイルデータ通信ができない(ネットに繋がらない)

有効なeSIMが端末にインストール(追加)された状態にもかかわらず、利用できるはずのエリアでインターネットがまったく使えないケースです。

このような繋がらない、という場合にチェックすべき項目を以下に挙げます。

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ここでは主に海外旅行でeSIMを使うケースを想定しています。

チェック項目その1: データローミング

海外eSIMではデータローミングを有効にしないと使用できないものが多々あります。その場合は必ずモバイル通信のデータローミング設定をオンにしましょう。

尚、データローミングは各回線(SIM/eSIMのこと)ごとに設定が可能です。なのでその旅行eSIMでデータローミングをオンにしても、日本で使っている回線に対して高額なローミング料金が請求されることはありません。(日本で使っている回線を海外で使いたくない場合は、データローミングがオフになっていることを確認しましょう。)

チェック項目その2: APN設定

eSIMの中にはアクセスポイント名(APN)の設定を行う必要のあるものがあります。このAPN設定が必要なeSIMの場合は、購入後に届くメールなどに必要な設定として詳細が書かれているはずなので、まずはそこをチェックしましょう。

チェック項目その3: 通信事業者の自動選択 / 手動選択

通常は自動で適切なネットワークへ接続されるものが、何らかの原因で自動では正しいネットワークに接続されないケースがあります(間違ったネットワークを掴んでいることも)。

原因は端末やOS側含めいくつか考えられますが、対処方法としては手動で通信事業者を選択することが効果的です。

まず、使いたいeSIMがその国でどの通信事業者に繋がるのか公式サイトなどで確認できる場合はチェックしましょう。ローミングeSIMの場合、一つの国で一つ以上の通信会社が使える場合も少なくありません。

そして端末の設定から「ネットワーク選択」の自動設定をオフにし、その後検出される現地のネットワークから目当てのネットワークを手動で選択します。

以下は自分が実際に体験した、楽天モバイルのeSIMがマレーシアで誤ってパートナー回線ではないネットワークを掴んでしまっていた時の画像です。

この時は手動で Digi というネットワークを選択することで、通信ができるようになりました。

もしどのネットワークが繋がるかまったく情報がなく、わからない場合はとりあえず上から順に接続されるか試してみましょう。

この「通信事業者の手動選択」を行うと強制的に接続するネットワークを指定することができるので、通信が安定しない場合や断続的にモバイル通信が途切れる場合にも有効です。

ただし、一度この手動設定を行うとその国では他のネットワークには一切繋がらなくなるので、エリアによって繋がりやすいネットワークが異なる国などでは注意が必要です。

*eSIMによっては手動選択が行えない場合もあるようです。

チェック項目その4: 正しいeSIMが選択されているかを確認

iPhoneでもAndroidでも多数のeSIMをデバイスに追加できます。

データ通信ができないという時はその時点で「モバイルデータ通信」に設定されている回線が利用したいeSIMであるかを確認しておきましょう。もしかしたら以前使ったeSIMや別のeSIMが設定されてしまっているかもしれません。(特にカスタム名称で各eSIMにわかりやすい名前を付けていない場合などは要注意です。)

iPhoneでは、追加されている回線(eSIM / SIM)がすべてモバイル通信画面に一覧で表示されます。

ここで確実に使用したいeSIMがオンになっていることを確認し、「設定」>「一般」>「情報」のICCIDの項目に表示されているICCIDがeSIMの番号と一致するかを確認してください。

尚、eSIMの番号は購入時に届くメールなどに記載されていることが一般的です。

チェック項目その5: プロファイル

こちらはiPhoneまたはiPad限定になりますが、利用したいeSIMとは異なるSIM or eSIM用に「プロファイル」というものをインストールしている場合は、それが影響して他のeSIMが利用できないというケースがあります。

この場合、まずは 設定 > 一般 > VPNとデバイス管理 と進み、プロファイルがインストールされていないか確認してください。(VPNのことではないのでお間違いないよう。)そしてもしプロファイルがインストールされておれば、それを削除してみてください

チェック項目その6: 3G or 4G/LTEの設定

これも海外旅行用eSIMで稀にあるケースですが、特に発展途上国などでは3Gしか使えない場合があります。そういった場合、通常は端末側でちゃんとよしなに3Gに繋げてくれるのですが、端末の対応周波数(Band)や現地ネットワーク側の問題でうまく繋がらないことがあります。このような時、端末の設定から優先ネットワークを選択できる場合は3Gに指定したりしてみましょう。

補足

モバイルデータ通信関係で問題が起こった時、とりあえずオールマイティーなトラブルシューティングとしては「フライトモード ON --> OFF」をしてみましょう。これによりモバイルデータ通信(のセッション)が一度切れ、新たにネットワークに繋ぎにいくような挙動が端末で行われます。ちょっとした不具合だとこれによって解決する場合もあります。

PDP認証エラーとネットワーク設定のリセット

iPhone / iPad 限定ですが、データ通信ができない時に「データ通信機能を起動できませんでした - PDP認証に失敗しました」というエラーが表示される場合があります。

PDP認証エラー

この場合、上に書いたチェック項目の2と3、APN設定とプロファイルの削除をトライしてみましょう。(そのあと念のためフライトモード ON --> OFFも。)

それを何度か試してもまだインターネットが使えない場合は、最終手段として「ネットワーク設定のリセット」を行うと直る場合があります。

ネットワーク設定のリセット方法は、設定 > 一般 > 転送またはiPhoneをリセット > リセット > ネットワーク設定をリセット と進んでいけばできます。

ただし、これを行うとiPhoneに入っているSIM、eSIMすべての設定がデフォルトに戻り、かつWiFi接続用のパスワード(保存されていたもの)もすべて消えてしまうので、かなり面倒です。


4️⃣ テザリング(インターネット共有)が使えない

eSIMをインストールした端末と他の端末(例えばPC)を繋いでデータ通信をシェアするテザリング機能が使えないケースです。

iPhoneの場合はモバイルデータ通信の下に「インターネット共有を設定」という青い文字が表示され、タップすると「このアカウントで"インターネット共有"をオンにするには、〇〇へ問い合わせてください」というモーダルが表示されることが一般的。

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eSIMによってはそもそもインターネット共有が使えないものもあるので、あらかじめインターネット共有がサポートされているかどうかは確認してください。

インターネット共有はサポートされているけど使えないという場合、APN設定が原因ということが多いので、購入したeSIMでテザリング機能を使う際にAPN設定が必要かどうか、そして正しいAPNが設定されているか、確認しましょう。

iPhoneでのその他の解決方法

ここからはiPhoneに限った情報です。

iOS側の不具合で以前の設定が影響してしまっている場合があります。

この場合、WiFi設定をオフにしたまま、iPhone自体の電源を切ります。その後、10秒以上待って電源を入れます。

自分は以前 iOS 16.3.1 で一度これでインターネット共有が使えるようになったことがありますので、実証済みです。

これでも直らない場合は、最終手段として「ネットワーク設定のリセット」を行う必要があるかもしれません。ただ、これを行うと保存されているWiFiネットワーク & パスワード、モバイルデータ通信設定、VPN / APNの設定すべてリセットされてしまうという大きなデメリットがあるので、自己判断でお願いします。

やり方は、「設定」>「一般」>「リセット」>「ネットワーク設定をリセット」とタップします。


5️⃣ 特定のWebページやアプリにアクセスできない

モバイルデータ通信全般がまったく使えないケースではなく、一部のウェブサイトやモバイルアプリのみ使えないといった場合です。

原因その1: その国独自のファイヤーウォール

中国のグレートファイヤーウォール(金盾)が最も有名ですが、その他イラクなどでも常時あるいは一時的に通信を制限 / 検閲するシステムが稼働している場合があります。こういった場合、一般的に影響を受けるのは現地の通信会社のインターネットゲートウェイを使用した(ローミングではない)通信です。逆に言えばローミング通信の場合はファイヤーウォールの影響を受けない場合が多いです。したがって解決策としてはローミング通信を使用したeSIMを選ぶことが挙げられます。あるいはVPNサービスを使う、というシンプルな対応策ももちろん効果的です。

原因その2: IPアドレスによるフィルタリング

特定のIPアドレスからのアクセスをウェブサイトやアプリ側で制限されている場合があります。こういった場合はVPNを使うなど、異なるIPアドレスを使うか、あるいはそのウェブサイトやアプリの管理者と連絡が取れる場合はアクセスに使用するIPアドレスをホワイトリストに入れてもらうことが解決方法になります。


6️⃣ モバイル通信プランの名称が消える

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iOS 14以降では起こりにくくなっているようです。

これはiOS / iPadOS特有の問題ですが、iOS 12 or 13では稀に追加したeSIM(モバイル通信プラン)に設定した名前が消えてしまうバグが確認されています。これに関しては完全にAppleマターとなりますので、OSのバージョンアップでfixされるのを待つしかありません。

尚、名称が消えてどのeSIMかわからなくなってしまった場合は、ICCIDを確認することで特定することが可能かと思います。

インストールしたeSIMの番号(ICCID)の確認方法
今回はiPhoneのiOS 12.3.1の場合でeSIMのICCIDの確認方法を説明します。

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