ORBIXがeSIMプロファイルの無料配布を開始。でも中身は単なるUbigiの再販

オービックスはイギリス拠点の会社で、主に英国に滞在する日本人向けにインターネット通信関連事業を行っているようです。

ORBIXがeSIMプロファイルの無料配布を開始。でも中身は単なるUbigiの再販

先日Twitterで以下のようなツイートを発見しました。

オービックスはイギリス拠点の会社で、主に英国に滞在する日本人向けにインターネット通信関連事業を行っているようです。

orbix.co.uk より

ブロードバンドやPocket WiFiレンタル、各種SIMカードの販売以外にも中古iPhone / iPadの販売や国際電話サービスなんかもあります。

今回無料配布を開始した海外旅行専用eSIMは別サイトで展開されていました。

orbixi.com より

Tweetを最初にみた時は新たなプロバイダーがサービス提供を開始したのかと思いましたが、実際はUbigiというeSIMサービスプロバイダーのプロファイル(eSIM)を配布しているだけ、というのがオチです。

Ubigiは最近NTTコミュニケーションズが買収した仏企業のTransatelが展開しているモバイル向けeSIMサービスです。eSIMDBでも実際に日本でUbigiのeSIMを利用した時のブログを公開しています。

オービックスのサイトでは「無料配布」と大々的に謳っていますが、もともとUbigiのeSIMプロファイルは無料で取得できるものなんですよね。有料のものを無料で配っているわけではありません。

orbixi.com/jp/rates-coverage より

データプランの料金もUbigiとまったく同じです。WebページもUbigiのRages & Coverageのページを日本語にしただけという感じです。世界地図が単なる画像で、クリックなどできない点ではUbigiのオリジナルのページよりも劣っていると言えます。また、日本人ターゲットにしているようですが、通貨もUbigiとまったく同じ、米ドル、ユーロ、ポンドの3つです。

それもそのはず、オービックスがやっているのはUbigiのeSIMプロファイルの配布だけで、肝心のデータプランの購入やデータ通信サービスの提供といったことは一切タッチしていません。

また、プロファイルのダウンロードに必要となるQRコードですが、オービックスでは申し込みを送信した場合自動で送られてくるわけではなく、人力でQRコードをメールで送っていると思われます。

ORBIX eSIM利用の流れ

「週末および祭日により、数日以上かかることがございます。」と記載があるので、eSIMをすぐに利用したい場合などは要注意です。

Ubigiの公式サイトからだとすぐにQRコードを受け取れますし、値段も同じです。ということで、eSIMを使うのは初めてで日本語でサポートを受けたい方などはオービックス経由で利用した方がいいかと思いますが、以前Ubigiから直接すべてやって問題なく利用できた経験から個人的にはあまりオービックス社を利用するメリットは感じませんでした。サイトの作りからしてもあまりテクノロジーに強い会社という印象は受けないので、自分なら無難に直接UbigiからQRコードを取得するかな、と思います。オービックスでは申し込みは日本語でできますが、Ubigiの申し込みページとほぼ同じなので、簡単な英語か、日本語かの違いくらいです。あと一応メールアドレスなどは個人情報なのでそれをどう保存・保管しているのか、あるいはそのデータを今後どう使うのかなどは、サイトやアプリに使われている技術からある程度信頼できる会社かどうかを僕は判断するようにしています。

ちなみにUbigiのモバイルアプリは日本語にも対応しているので、Ubigiの公式サイトから簡単な英語でQRコードを取得し、プロファイル(eSIM)をダウンロードさえすればアカウント作成やデータプランの購入などはすべて日本語で可能です。

そしてこのUbigiのモバイルアプリについてですが、オービックスのサイトには「ORBIXのeSIMのAppは、Transatel社のUbigiアプリを共有利用しています。」と記載されています。まあどう捉えるかは人それぞれなのですが、このモバイルアプリ自体は100%Transatel社が開発しているものですし、QRコードやeSIM自体もUbigiが生成しているものであることは明らかです。OEMでもありませんし、アプリ自体はオービックス経由ではなくUbigi公式サイト経由からeSIMをインストールした場合も問題なく利用できます。


さて、今回調べたORBIXのeSIM無料配布に関して簡単にまとめると、

  • オービックス社が無料配布しているのはUbigiのeSIMプロファイル
  • 有料だったものを無料配布しているのではなく、もともと無料のもの
  • データプランの料金や利用できる通貨もUbigiとまったく同じ
  • モバイルアプリもUbigiのものを利用
  • 申し込みからQRコード取得まで時間がかかる場合がある
  • サポートなどは(たぶん)日本語でしてくれる

という感じです。

ちなみにこの無料配布が事業として成り立つ背景としては、オービックスが配布したプロファイルを利用してデータプランが購入された時にUbigiからコミッション(報酬)が支払われる取り決めになっているからと考えられます。ま、一般的なビジネスモデルですね。

実は eSIMDB でも同じようにUbigiのQRコード無料配布を予定しており、近日中にサイトに実装予定です。我々の場合はリクエスト(申し込み)があったらすぐにメールでQRコードを送付できるようするため、受け取りに時間がかかることはありません。Ubigi公式サイトから同様、すぐにQRコードが届きます。