シンガポール旅行でプリペイドeSIMを複数テストしたまとめ
シンガポール向け旅行eSIMを複数検証・テストしたレビューです。
セントーサ島やマリーナベイサンズをはじめ観光旅行はもちろん、海外出張の方も多く訪れるシンガポール。
この記事では以下4つの旅行者向けプリペイドeSIM(旅行eSIMまたはトラベルeSIM)について、料金等はもちろん実際に現地で使った体験も含めまとめています。
- Nomad
- eSIM版 SIM2FLY (通称 eSIM2Fly)
- ソラコムモバイル
- MobiMatter(3香港のeSIM)
Nomad、eSIM2Fly、ソラコムモバイルは2022年10月にシンガポールを訪れた時に、MobiMatterは2023年5月にトランジットでシンガポールに寄った時にそれぞれ実際に使いました。
尚、シンガポールで利用できる旅行eSIMは現時点でも40以上あり、さらに今後増えると思いますし、価格もよく変わることがあるので、この記事の内容も参考にしていただきつつ、その他のeSIMも含めて価格など最新情報は eSIMDB でチェックしてみてください 👇
結論から言うと自分が実際に使ってみたeSIM 4つについては、多少の違いはあればどのeSIMも全然問題なく使え、とても便利でした。
旅行eSIMは一度使うとその便利さから物理SIMには戻れないですね。
シンガポールの通信キャリア
eSIMの話の前に事前情報として現地ネットワークについて少々。
シンガポールの通信会社ビッグ3といえば、Singtel、StarHub、M1 の3社(たぶん)。
Opensignal の2022年6月のレポートによると、品質安定面では Singtel、ダウンロードスピードは StarHub がベストという調査結果になっています。そのほかの項目でもこの2社がトップで、似たり寄ったりといった感じ。シンガポールの現地の方に聞いてもだいたいこの2社が安定してて良い、というような意見でした(もちろん色々な意見があると思うので断定はできませんが)。なので基本的にはシンガポールでは Singtel か StarHub に繋がっていれば、カバレッジ、スピード、品質(安定性)のバランスがよく、満足度が高い、と考えて良さそうです。
今回試したeSIMもこの2社のどちらかに繋がっており、実際通信も安定していて(そもそもシンガポールは小さな国ですが)カバレッジも全く問題ありませんでした。
Nomad
Nomad は旅行者向けeSIMの中でもトップクラスに使いやすく、それでいて低価格なサービスです。以前タイで使った際に個人的に気に入り、シンガポール向けのプランも比較的安かったので試してみました。
尚、Nomadのサービスは日本語にも対応しているので日本人にとっても使いやすいはず。ただ、日本語は機械翻訳っぽくやや不自然な部分は多々あります。
Nomad eSIMのシンガポールプラン料金
*Nomadに限らず、プラン料金は頻繁に変更されることがあるので最新情報は必ず公式サイト↑、あるいは eSIMDB でチェックをお願いします。
執筆時点での Nomad のシンガポール向けデータプランはレギュラープラン5つ、無制限プラン5つの計10プランあります。
レギュラープラン
- 1GB / 7日間 : $4
- 3GB / 30日間 : $7
- 5GB / 30日間 : $10
- 10GB / 30日間 : $17
- 15GB / 30日間 : $20
無制限プラン
- 1日プラン : $7
- 3日プラン : $15
- 5日プラン : $20
- 7日プラン : $25
- 10日プラン : $30
*ただし無制限といっても1日2GBまでが通常速度、その後は512kbpsに速度制限となります。
これでも十分良心的な値段ですが、
特に5GBプランあたりからはかなりGB単価もよく、上記の割引コードを使うと5GBプランが$7、10GBプランが$14になるのでなかなかお得な印象。
個人的には無制限プランではなく、レギュラープランで自分の必要なGBを買うのがシンプルでいいような気がします。(無制限プランそんなにお得でもない。)
普通だったらたぶん5GBプランを買っていたと思いますが、今回は複数のeSIMを使う予定だったので少なめの2GBプランを購入しました。
尚、実際の購入方法とプロモコードの利用方法、そして購入後のeSIMのインストール方法はすべて以下に詳しくまとめていますので、よければご覧ください。
購入自体はWeb、アプリどちらからでも可能です。(2022年10月に Android アプリもリリースされています。)
シンガポールでの通信品質
*検証時期: 2022年10月
チャンギ空港到着してすぐにiPhoneの設定からモバイルデータ通信にこちらの Nomad のeSIMを割り当て、データローミングを有効にすると10秒弱ですぐにインターネットに接続できました。
現地での接続先ネットワークは Singtel で表示はLTE。
Singtel ということで、エリア的にはまったく問題ありませんでした。数日の滞在でしたが、一度も圏外になってなかったと思います。(空港の端っこあたりでは3Gになっていたような気はします。)
スピードテストの結果
左からチャンギ空港内、マーライオン近く、セントーサ島ユニバーサルスタジオ周辺でのスピードテスト結果です。
どうもセントーサ島のユニバーサルスタジオあたりは混雑していたのか若干遅めかつアンテナピクトも2本となっていますが、それ以外ではそこそこのスピードが安定して出ていました。(もちろん旅行用プリペイドeSIMとして考えた場合。)
Ping値は香港経由ということで、50 - 70ミリ秒ほど。個人的には許容範囲内です。
そしてインターネット共有(テザリング)もちゃんと使えました。
データ残量チェックとデータの追加購入
Nomad は(英語ですが)アプリも非常に使いやすく、見た目も綺麗です。アプリからはデータ残量の確認や有効期限のチェックはもちろん、必要であればデータの追加購入もできます。
データの追加は Add-on と書いてある部分で、料金はオリジナルのデータパックの料金と同じです。
Nomad eSIM まとめ
✅ 豊富な10種類のデータプラン且つ良心的な価格 + 3ドル割引コード「ESIMDB3」が使える
✅ Singtel につながり、カバレッジ的にも文句なし
✅ スピードもそこそこ出る & Ping値も許容範囲内
✅ アプリが使いやすく、データ残量や有効期限の確認、データの追加購入ができる
eSIM2Fly
SIM2FLY はタイの通信大手であるAISが提供する、コスパのいいプリペイド型ローミングSIMです。
eSIM2Fly はそのeSIM版の通称で、パッケージ内容は物理SIMカードとまったく同じ。
世界140カ国以上で使える Global Plan、アジアその他地域の34カ国で使える Asia Planと複数ラインナップがありますが、どれも日本も利用可能国に含まれているため、事前の動作チェックもできますし、それでいて低価格なので魅力的な商品です。
これら SIM2FLY のeSIMはすべて esim2fly.com というサイトで購入できます。
以下の記事で購入方法を詳しく解説しています。
6GB / 8日間のAsia Plan は上記プロモコード「ESIMDB」利用で$15です。
6GBだと数日から一週間程度の滞在であれば多くの人にとって十分なギガ数かと思います。
esim2fly.com から購入後、自分は渡航日前日にQRコードを使ってeSIMをiPhoneにインストールしました。*eSIM2Fly は端末にインストールした時点で有効期限がスタートです。
シンガポールでの通信品質
*検証時期: 2022年10月
eSIM2Fly はローミングeSIMなので、データローミングをONにする必要があります。あとは「モバイルデータ通信」にそのeSIM(回線)を設定するだけ。iPhoneでの設定は以下の通り。
チャンギ空港に到着後、上記設定をし、飛行機を降りた瞬間からすんなり繋がりました。
シンガポールでの接続先ネットワークは Singtel の5G or 4G。
Nomad のeSIM同様 Singtel ということで電波状況はMRT、セントーサ島含めまったく問題なし。ルーフトップバー的なところも行きましたが、ちゃんと電波が入っていました。
スピードテストの結果
左からチャンギ空港内、マーライオン付近、セントーサ島ユニバーサルスタジオ近辺での通信テスト結果です。
やはり Nomad と同じくユニバーサルスタジオ周辺では速度が落ちましたが、そのほかは終始ダウンロード20 - 50Mbpsくらい出ていた模様。個人的にはアップロード含め普通に旅行する場合は十分使えるレベルかな、と。
Pingはタイ経由ということで50ミリ秒前後。香港経由の Nomad のeSIMとほぼ同じか若干だけこちらの方が遅延が小さいといったところです。
ちなみに5Gでも4Gでも体感速度に変化はなかったように思います。
インターネット共有(テザリング)も問題なく使えました。
データ残量のチェック
eSIM / 物理SIMどちらも SIM2Fly のデータ残量チェック方法は、myAIS というモバイルアプリから行う方法と、電話アプリから *111*6# に発信してSMSを受け取る方法の2つがあります。
追加のデータ(プラン)購入は myAIS のアプリからできるようですが、まずチャージをしてから購入する必要があるようです。(また今後実際にやる機会があれば記事にまとめます。)
eSIM2Fly まとめ
✅ 日本含めアジア主要国 + α で利用できるので、渡航前の事前確認ができたり、複数国行く時は便利
✅ プランは6GBだけだが割引コード「ESIMDB」で1ドル引きに
✅ ローミング先は Singtel でカバレッジも良好、スピードも Ping も旅行用eSIMとしては良好
ソラコムモバイル
日本発の旅行者向けeSIMサービスといえばソラコムモバイル。KDDIグループのソラコム社のサービスで、Apple ID でのサインインと Apple Pay、そしてアプリからのeSIMインストールでストレスフリーに使い始めることができるのが特徴。
一連の流れ(使用方法)については以下の記事に別途まとめております。
自分はアメリカ、そしてベトナムに続き今回3回目のサービス利用です。
ソラコムモバイルのシンガポール向けデータプランは執筆時点では全部で4つ。
- 1GB / 30日間 : $5.89
- 3GB / 30日間 : $16.49
- 5GB / 30日間 : $26.99
- 10GB / 30日間 : $52.99
コスパ的には上の Nomad eSIM、eSIM2Fly と比較するとやや目劣りはしますが、日本語でサービスやサポートを受けられるという面で、日本人にとって選びやすいeSIMではあります。
あるいはこの方のようにほかのeSIMが使えなかった、というような場合のバックアップとして選ぶのもアリかも。
シンガポールでの通信品質
*検証時期: 2022年10月
ソラコムモバイルはデータローミングの設定不要で、データ通信に割り当てるだけでOK。そして初回の接続も非常に早い気がします。
ソラコムモバイルの場合、ほかのeSIMと異なり、Singtel にも StarHub にも両方繋がるという特徴があります。万が一どちらかの回線で通信障害が発生したとしても安心ですし、(シンガポールではほとんどないかもしれませんが)どちらかの電波しか安定して入らないというような時でも切り替えが可能です。
ネットワーク選択はデフォルトは「自動」になっており、電波状況によりベターな方に自動で接続されるので普通はぜんぜんこのままOKです。
もしどちらか手動で選びたいときは、「ネットワーク選択」から可能です。
自分はあえて他のeSIMでは繋がらなかった StarHub を選択してみました。
結論から言うと、自分の行動範囲内では Singtel も StarHub も電波状況的に大差は見られず、どちらも問題なくどこでも使えました。
スピードテストの結果
左からマーライオン付近、セントーサ島ユニバーサルスタジオ近辺、そしてチャンギ空港内での通信テスト結果です。
全体的に安定しており、ダウンロードは15Mbps前後です。この値だけ見れば他のeSIMよりやや遅いですが、正直実際使っていて大きな違いは感じませんでした。一般的に旅行中に使うようなアプリや利用用途には全然十分だと個人的には思います。
Ping は日本経由のローミングのため100ミリ秒超と若干大きめ。
尚、インターネット共有(テザリング)も使えます。
データ残量チェックとデータの追加購入
ソラコムモバイルも Nomad と同様、アプリからデータ残量や有効期限のチェック、そしてデータの追加購入(チャージ)が可能です。
チャージできるデータプランの種類と価格は(最初に購入した)元々のプランと全く同じです。
ソラコムモバイルのeSIMまとめ
✅ iPhone / iPad だけだが購入からインストール、使い始めまでがストレスフリー
✅ 日本企業のサービスということで、どこか安心
✅ Singtel と StarHub 両方に繋がるため、冗長性がある
✅ スピードも安定しており、旅行目的の利用範囲としては不便を感じない
✅ アプリでデータ残量や有効期限の確認、データのチャージが可能
MobiMatter(3香港のeSIM)
MobiMatter は日本ではあまり知られていないかと思いますが、複数国で利用できるローミングeSIMを中心に多様な旅行eSIMを取り揃えています。
今回紹介するeSIMは、知る人ぞ知る(?)香港の「3」通称3HKが提供するeSIMで、それをMobiMatterが販売しています。
シンガポール向け3HKのeSIM
MobiMatter公式サイトのシンガポールeSIMのページにはたぶん50以上のeSIMプランが並んでいますが、その中でも圧倒的なコスパを誇るのが、ページ上部にある2つ。
3香港が提供する「Singapore Malaysia and Thailand 15GB」と「Singapore Malaysia and Thailand 30GB」というeSIMプランです。
名前の通り、これらは実はシンガポールだけでなくマレーシアとタイでも利用可能。
料金は、
- 15GBプラン(30日間): $9.99
- 30GBプラン(30日間): $13.99
ということで、どちらもめちゃくちゃコスパが良いんです。1ドル145円の日本円換算だと15GBプランで1,500円弱、30GBプランで2,000円ちょっと。
そこそこ良心的なNomadのプランでさえ到底敵わないGB単価です。
さらに、MobiMatterではアカウント作成をするとメンバー特典として3%割引を受けることもできます。
MobiMatterのサイトからのeSIM購入方法や、上記特典の受け方は以下の記事で詳しく説明しています。
シンガポールでの通信品質
*検証時期: 2023年5月
現地に着いてから利用開始に必要な設定は、
- データローミングON
- モバイルデータ通信への割り当て
です。
他eSIMと比較して、この3HKのeSIMの場合は初回接続まで少しだけ時間がかかった印象で、数分程度待ったように思います。
接続先はこの通りStarHubでLTE表示↓。
チャンギ空港での通信速度
チャンギ空港ではそこそこ時間があったので、ラウンジ巡りも兼ねてターミナル1からターミナル3まで回ってみました。途中でスピードテストも何度か実施。
真ん中以外の2つは非常に快適な速度が出ているのがわかるかと思います。基本的にはほぼ問題なく良い速度で使いていました。一部デッドゾーン?みたいにいきなり速度が落ちるスポットがありましたが、気になるほどの影響はありませんでした。
3HKのeSIMということで、香港経由でPing値は60ミリ秒前後。こちらもローミング通信にしては優秀な方でしょう。
3HKのeSIM by MobiMatter まとめ
✅ 種類は2つだけだが、とにかくコスパが圧倒的でダントツNo.1
✅ 15GB、30GBプランということでかなり長期の滞在以外では十分すぎる = 使い切ることを心配することがない
✅ StarHubに繋がるのでカバレッジも問題なし
✅ 速度、レイテンシーともに良好で不満なし
シンガポール用旅行eSIMまとめ
今回試した Nomad、eSIM2Fly、ソラコムモバイル、そしてMobiMatter(の3香港eSIM)の4つのeSIMはどれも十分実用的だったと言えます。
なかなか一つを選ぶのが難しいかもしれませんが、
- 利便性や価格など、総合的なバランスでは Nomad eSIM
- 日本で事前通信チェックをしておきたい、あるいはアジアの他の国でも使いたいという場合は eSIM2Fly
- 最安値レベルでなくてもいいので日本語でストレスフリーに使いたい、あるいは旅行eSIMは初めてなのでなるべく簡単に使えるものがいいという場合はソラコムモバイル
- ある程度のギガ(大容量)が欲しい、ということであれば MobiMatterの3香港eSIM
でしょうか。
いずれにせよ、価格や使い勝手に多少の違いはあれど、どれでも普通に問題なく使えるはずです。
そして再度になりますが、シンガポール旅行時にeSIMの利用を検討されている方は、40以上のeSIMサービスを簡単に検索・比較できる「eSIMDB」👇 でまずはチェックしてみてください。もしかしたらよりお得なeSIMが見つかるかもしれません。
(補足)その他のおすすめeSIM
参考までに、シンガポール旅行者向けにオススメできる他のeSIMをいくつか載せておきます。
Airalo
Airalo もNomadと似ており、非常に使い勝手がよくそれでいて価格も良心的なオールラウンダーです。実際知名度はAiraloの方があるかもしれません。日本語にも対応しています。
AiraloのシンガポールeSIMの料金は以下の通り。
- 1GB / 7日間 : $4.5
- 2GB / 15日間 : $6.5
- 3GB / 30日間 : $8.5
- 5GB / 30日間 : $11.5
- 10GB / 30日間 : $18
- 20GB / 30日間 : $26
AiraloのeSIM購入方法や使い方は以下の記事にまとめています 👇
eSIM4Travel
最近低価格路線で個人的に注目しているのがeSIM4Travel。
ウェブサイトもシンプルでごちゃごちゃしていないので、購入しやすいのもGood。
eSIM4TravelのシンガポールeSIMの料金は以下の通り。(ただしこれ以外にも複数国プランがあります。)
- 1GB / 7日間 : $2.24
- 3GB / 30日間 : $3.54
- 5GB / 30日間 : $5.49
- 10GB / 30日間 : $9.8
ちょっとここまでお手頃だとこの価格が続くのか少し不安なので、最新情報はeSIM4Travelのサイト👇でチェックをお願いします。