旅行eSIM(トラベルeSIM)に関するよくある質問まとめ
海外旅行者向けeSIMの疑問や不安を一掃できる、FAQ総集版。
最近、海外旅行者の間で急速に人気が出てきているトラベルeSIM。この海外旅行者向けのプリペイド型eSIMはこれからさらに普及すると予想されるものの、まだ比較的新しいテクノロジーなので、仕組みや実際の利用に関して疑問や不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、そういったトラベルeSIMに関する疑問に対して、よくある質問に答える形で初めての方にもわかりやすく解説します。
海外旅行中、現地でスムーズにインターネットを利用し、スマートかつ身軽に旅するために、トラベルeSIMの基本を幅広くカバーしていますので、ぜひ参考にしてください。
尚、トラベルeSIMの具体的なメリットや海外旅行先での実際の設定方法・利用方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひどうぞ。
トラベルeSIMに関するよくある疑問と回答
海外旅行者向けeSIMについて、基本的な内容をQ&A形式で整理。
Q: トラベルeSIM(旅行eSIM)とは?
トラベルeSIM(旅行eSIM)とはデジタル版SIMの一種で、海外旅行中に現地のセルラーネットワークを利用してスマートフォンやタブレットなどのデバイスでモバイル通信サービスを利用できるようにするものです。物理的なSIMカードを使わずに、インターネット接続を可能にします。
従来の旅行者向けSIMカードのデジタル版と考えるとわかりやすいです。
トラベルeSIMは通常、特定の国や地域で使えるプリペイドのデータプランを購入して利用するのが一般的で、自国の契約回線が渡航先に対応していなかったり、高額なローミング料金を避けたい場合に利用されます。
Q: トラベルeSIMの利用の流れは?
トラベルeSIMを利用する流れとしては、まず(通常は)旅行前にトラベルeSIMサービス事業者からオンラインでデータプラン付きのeSIMを購入します。そして、それをスマートフォンやタブレットなどの端末にインストールし、アクティベートします。アクティベートが完了すると、渡航先の現地モバイルネットワークに接続でき、滞在中にモバイル通信サービス(インターネット等)を利用することができます。
帰国後はSIMカードを入れ替えたりする必要はなく、自国でメインで使っている契約回線(物理SIMまたはeSIM)に数タップで簡単に切り替えることができます。
物理的なカードを必要としないため、購入からインストール、利用開始までが非常に簡単で、インターネット環境されあればすぐに利用開始準備が整います。
Q: eSIMはどのようなデバイスで使えますか?
最新のスマートフォンやタブレットのほとんど、そして一部のノートパソコンはeSIMに対応しています。
スマートフォンでは、iPhone XS/XR以降のモデル、Google Pixel 3以降、Samsung Galaxy S20以降の機種はすべてeSIMに対応しています(ただし、中国モデルを除く)。
Q: トラベルeSIMをインストール(アクティベート)する方法は?
デバイスにeSIMをインストール(アクティベート)する方法は3つあります。
*いずれの方法でもWi-Fiまたはモバイル通信による安定したインターネット接続が必要です。
1️⃣ QRコードを使用する方法
事業者からeSIMプランを購入すると、メールあるいは事業者のウェブサイトやアプリ経由でQRコードが提供されます。
スマートフォンの設定からeSIMを追加(あるいは回線を追加)を選び、QRコードをスキャンします。あるいはカメラアプリを起動して直接QRコードをスキャンする方法でも可能です。その後、画面の指示に従って数回タップするだけで簡単にeSIMのインストールが完了します。
2️⃣ アクティベーションコードを使用する方法
QRコードをスキャンできない、あるいは提供されない場合は、手動でアクティベーションコードを入力してeSIMをインストールできます。
スマートフォンの設定画面で新しいeSIMを追加する際、QRコードの代わりに手動入力オプションを選びます。事業者から提供されたアクティベーションコードを入力し、その後はQRコードの時と同様に画面の指示に従ってeSIMのインストールを完了します。
3️⃣ 事業者のモバイルアプリを使用する方法
一部のeSIM事業者は、モバイルアプリから直接eSIMをインストールできる機能を提供しています。アプリ経由でeSIMプランを購入した後、ワンタップでインストールが可能で、QRコードや手動入力を省略できます。
Q. トラベルeSIMの使用中もメインの電話番号を使用できますか?
はい、ほとんどのeSIM対応デバイスでは、メインの回線(主回線)とトラベルeSIM回線を同時に利用することができます。これはデュアルSIM機能と呼ばれ、自分のメインの電話番号をオフにすることなく、トラベルeSIMでモバイルデータ通信(インターネット接続)を利用することが可能です。
物理SIMとeSIMの組み合わせでのみデュアルSIM機能が利用できる場合は主回線の方は物理SIMである必要がありますが、デュアルeSIMに対応しているデバイスであれば、主回線が物理SIMでもeSIMでも、トラベルeSIMと併用することが可能です。(最新のスマートフォンの多くはデュアルeSIM対応です。)
Q. 海外旅行中に物理SIMカードよりもトラベルeSIMを利用するメリットは何ですか?
従来の物理SIMカードと比較して、トラベルeSIMには以下のようなメリットがあります。
- 便利さ: 店舗やカウンターに行って並んでSIMカードを購入したり、注文してから届くまで待つ必要がありません。オンラインで購入し、ものの数分で利用を開始できます。
- 安全で楽: SIMカードを紛失したり破損したりするリスクがなく、入れ替える必要もありません。また、日本で使っているメインの回線や次の渡航先向けのeSIM回線に簡単に切り替えることも簡単です。
- 選択肢が多く、価格が安い: キャリアの海外ローミングやW-Fiレンタルはもちろん、ツーリストSIMカードよりも多くの選択肢があります。また、選択肢が多いことで競争が激化し、その結果、市場原理により価格も下がりやすい傾向にあります。
- (ボーナス)環境にやさしい: プラスチック製のSIMカードを使わないため、廃棄物が減ります。
従来のSIMカードとは異なり、最近のスマートフォンやタブレットでは複数のeSIM(8〜10個、将来的にはそれ以上)のeSIMを保存できることがほとんどです。これは既に複数の回線を契約していてさらに追加でトラベルeSIMを使いたい場合や、異なる国向けに複数のトラベルeSIMを使い分けたい場合などに非常に便利です。
Q. 自分にあったベストなトラベルeSIMを選ぶには?
最適なeSIMプランを選ぶには、必要なデータ容量、滞在日数、そして訪れる国(または地域)などを考慮する必要があります。
もしインターネットや通信に明るい方であれば、レイテンシー(Ping値)についてもある程度確認できると良いでしょう。快適にモバイルデータ通信を利用できそうか、目安になります(実際の現地での通信速度を事前に予測するのは非常に難しいため、遅延に注目する方が現実的です)。
世界最大の海外旅行者向けeSIMデータベースサイト「eSIMDB」は、多様なトラベルeSIMブランド、そして様々なデータプランを簡単に比較したり検索できる便利なツールです。価格、データ容量(GB)、利用期間などで絞り込むことができる高度なフィルタリング機能も備えています。
Q. トラベルeSIMは海外ローミングより安い?
ほとんどの場合、トラベルeSIMは通信事業者(キャリア)が提供する従来の海外ローミング料金よりも安い傾向にあります。その理由はいくつかあります。
まず、トラベルeSIMの人気が世界的に高まっており、利用者とデータ消費量が増えているため、eSIMサービス事業者は現地キャリアに対して大量のデータ(の使用)をコミットすることにより、安価な価格で契約できることになります。そしてその結果として、消費者への販売価格も安価になっています。
また、一般的にトラベルeSIMはプリペイド型のため、決められたデータ容量に対して決められた料金を事前に支払うため、後払いの海外ローミングプランにありがちな予期しない高額な請求を避けることができます。
さらに、トラベルeSIM事業者は特定のニーズや用途に合わせてカスタマイズされたプランを提供することも多く、全体として幅広い顧客セグメントに訴求できています。この柔軟性により、旅行者は従来のキャリアの限られた海外ローミングオプションに縛られることなく、自分のニーズに合った最も手頃なプランを見つけて利用することができます。
Q. 同じトラベルeSIMを複数の旅行で使えますか?
トラベルeSIMサービスやブランドにより仕様が異なります。データを使い切ったり有効期限が過ぎたりすると使えなくなる一回限り(使い捨てタイプ)のトラベルeSIMもありますが、都度プランを購入(チャージ)して継続的に同じeSIMを利用できるタイプのサービスもあります。
Q. トラベルeSIMは通話やSMSに対応していますか?
執筆時点では、現地の電話番号が付属せず、電話回線を利用した音声通話やSMSを利用できないデータ通信専用のトラベルeSIMの方が多いです。ただし、その場合でもLINEやFacebookメッセンジャーなどのVoIP(インターネットを利用した音声通話)サービスを使って通話やメッセージのやり取りは可能です。
一部の国では従来のSIMパッケージ商品のように現地の電話番号付き、通話・SMSクレジットが含まれた観光客向けのeSIMパッケージが販売されているケースもあります。こうした通話やショートメッセージが利用できる旅行者向けeSIMは現時点では数が限られています。
なお、一部のトラベルeSIM事業者は有料オプションとしてSMS機能を提供しています。
Q. トラベルeSIMはスマートウォッチで使えますか?
ほとんどのスマートウォッチはトラベルeSIMのようなプリペイド型のeSIMに対応していません(執筆時点)。これは主に、Apple WatchやSamsung Galaxy Watchのようなスマートウォッチが電話番号シェアやワンナンバーサービスなど特定のキャリア機能を必要とするためです。これらの機能は通常、大手キャリアの月額契約プランで提供されており、プリペイドでデータ通信専用であるトラベルeSIMは対応していません。
さらに、一部のスマートウォッチは特定のキャリアにロックされていることが原因となることもあります。
ただし、将来的には多くのスマートウォッチでトラベルeSIMを利用できるようになる可能性は大いにあるでしょう。
Q. 帰国後に日本の主回線に戻すには?
海外旅行時にeSIMを使う場合、帰国後に日本のメインの回線に戻すのは設定から数タップで可能です。
iPhoneの場合、設定アプリを開き、「モバイル通信」(または「モバイルデータ」)の画面を開きます。日本で契約している主回線に戻すには、「モバイルデータ通信」と「デフォルトの音声回線」両方でその回線を選択するだけでOK。トラベルeSIMが不要な場合はSIMのセクションからその回線をオフにする、あるいはeSIM自体を完全に削除することができます。
Androidの場合も同様で、設定アプリを開き「ネットワークとインターネット」に遷移し、日本のメインのSIM/eSIMをモバイルデータ、通話、SMSのデフォルトとして設定します。不要になったトラベルeSIMは無効化、あるいは今後もう使わない場合は削除しておきましょう
Q. トラベルeSIMでよくある問題とその対処方法は?
eSIMのインストールに関する問題以外に、渡航先の現地でモバイルデータが使えない場合や、テザリング(インターネット共有)に問題がある場合、あるいは特定のウェブサイトやアプリにアクセスできないといった問題が発生することがあります。
よくある一般的な問題の解決方法については、すべて以下のブログ記事にまとめているので、ご覧ください。
Q. ひとつのトラベルeSIMを複数デバイスで利用(シェア)することはできますか?
多くの場合、テザリングやインターネット共有(あるいはホットスポット)と呼ばれる機能を使って、他のデバイスとモバイルデータ容量をシェアすることが可能です。
ただし、一部のトラベルeSIM事業者はこのテザリング機能を制限したり、データ制限を設定していたりすることがあります。複数端末でモバイルデータ通信を利用した場合は、eSIMを購入する前にこのテザリングが利用できるかどうか事業者に確認しましょう。
なお、インターネット共有では一般的に多くのデータを消費することから、データ使用量には注意が必要です。
Q. トラベルeSIMを他の端末に転送することは可能ですか?
別のデバイスに(クイック)転送することができるトラベルeSIMは執筆時点では非常に少ないです。
トラベルeSIMは月額契約の通常のeSIMと比べて制限が多く、一度インストールしたeSIMを他の端末に転送する機能を利用できるものはほとんどありません。これは、eSIMクイック転送をサポートするためのコストや、トラベルeSIMが一般的にプリペイドで短期間の利用を目的としていることが理由です。
しかし、一部の事業者(特に専用のモバイルアプリを提供している事業者)では、誤ってeSIMを削除してしまった場合や、機種変更時にアプリからeSIMを再インストールできます。
事業者ごとに仕組みや制限が大きく異なるため、機種変更などで他の端末に転送したい場合は、利用しているeSIM事業者にまず確認してみましょう。