ベトナム旅行に最適なeSIMは何か、複数のeSIMを徹底検証
ベトナム旅行で使えるトラベルeSIMを複数テストしたまとめ記事です。
ベトナムは東南アジアの人気旅行先の中でも日本からの距離が比較的近い国のひとつ。日本の大手エアラインはもちろん、ベトナム航空、そしてVietJetというLCCも飛んでいます。
この記事は、ベトナム旅行者向けのプリペイドeSIMをいろいろ実際に使って、比較したり考察するという検証型レビュー的なものを目指しています。
現在この記事は、
- 2022年7月:「ソラコムモバイル」と「SimOptions」のeSIMをホーチミン(旧サイゴン)で利用
- 2022年10月:「Nomad eSIM」をホーチミン & ダナンで利用
した内容をベースにしています。
あと全然使いものにならなかったのですが、楽天モバイル(eSIMで利用)の海外ローミングも試しました。
ベトナムで使えるeSIMは、上記以外にもAiraloやAirhub、UPeSIMなど、コスパの良いeSIMが複数ありますし、料金などが変更になることも十分に考えられるので、渡航前にまずは esimdb で検索して最新情報をチェックしてみてください。
尚、ソラコムモバイルはちょうど2022年7月のアップデートでアジアでも使えるようになったこと、SimOptionsのeSIMは日本でも使えるので日本在住の旅行者にとっては旅行前にテストができること、そしてNomadは以前シンガポールで使った時に非常に使いやすく、コスパも良かったというのがチョイスの理由です。
今後もベトナムに行く度に新しいeSIMを試して、この記事をアップデートできればと思っています。
*ソラコムモバイルについては現在iPhone/iPadでのみ利用可能ですが、SimOptionsとNomadのeSIMはAndroidでも利用可能です。
尚、自分はiPhoneユーザーなのでiPhoneでの内容になります。
ソラコムモバイル
ソラコムモバイル(Soracom Mobile)はIT系(特にIoT界隈)では有名な日本のソラコム社が提供する海外旅行者向けeSIMサービスです。
*以下、基本iPhoneベースで書いていますが、iPadでも同様に利用可能です。
ソラコムモバイルの特徴
日本の企業が提供するサービスということで日本語で利用できるという安心感ももちろんありますが、ソラコムモバイルの特徴はなんといってもサービス全体の使い勝手の良さだと思っています。eSIMの購入から利用まで、iPhoneひとつですべて完結します。

(*ウェブサイトはサービス内容の紹介のみでeSIMの購入はできません。)
すべてモバイルアプリベースで、流れとしてはまずApp Storeからアプリをダウンロードして、国やデータプランを選び、そのまま Apple Pay or クレジットカードで購入。

途中アカウント登録 or ログインが必要になりますが、そこも Apple ID でサインイン(Sign in with Apple)であっという間です。
購入完了後はワンタップでeSIMをiPhoneにインストールすることができます。QRコードの読み取りは不要です。

ここまでたぶん数分で完了します。
データプランと料金
現在ソラコムモバイルでは日本やシンガポール、台湾、香港といったアジア諸国のほか、アメリカやオーストラリア、ヨーロッパ(33カ国)などでデータ通信が利用可能。
詳しいデータプランと料金については公式サイトのeSIM料金ページをご確認ください。比較的安価に利用できる国・地域も多い印象です。
ベトナム向けのデータプランは執筆時点で以下の4つ。
- 1GB / 30日間 : $5.89
- 3GB / 30日間 : $16.49
- 5GB / 30日間 : $26.99
- 10GB / 30日間 : $52.99
もしソラコムモバイル一本でいくということであれば間違いなく5GBプラン(約3,500円ほど)を選んでいましたが、後述するSimOptionsのeSIM (6GB)と併用の予定だったため、今回は1GBプランを購入しました。
購入後にアプリからQRコードなしに直接eSIMをインストールできますが、自分はいつも念の為WiFi環境でこのeSIMのインストールを行っています。とりあえず安定したネット環境下でしましょう。
もちろん日本にいる間は使えない(繋がらない)ので、現地に着くまではこのモバイル通信プラン(eSIM)自体をオフにしておくのが無難です。
*尚、ソラコムモバイルはデータ通信サービス、通話/SMSは利用できません。
ベトナムで実際にデータ通信をする
ソラコムモバイルの場合、データローミングやAPNの設定はする必要はなく、設定から「モバイルデータ通信」に割り当てるだけで使えるようになります。
ホーチミンのタンソンニャット国際空港到着後、無事現地ネットワークを掴んでくれました。ベトナムでは Vietnamobile につながります。

たまに3Gになっていたこともありますが、基本は4Gだったと思います。
実際の通信速度や品質
ホーチミン市内でスピードテストを行った結果がこちら。

特に速いわけではないです(というか日本の5G/4Gと比較されれば低速です)が、正直これでも全然十分使えました。
というか、安定感がある分使い心地は後述するSimOptionsのeSIMよりだいぶ良かったように思います。
日本を経由するローミングなので、若干Ping値は大きくなっています。個人的にはあまり気になりませんでしたが、動画ありの通話などリアルタイム性が重要視される用途にはあまり向いていないかもしれません。
データ残量の確認や追加購入、インターネット共有など
ソラコムモバイルアプリから、いつでもデータ残量の確認やデータの追加購入(チャージ)が可能です。

今回自分は2泊3日の短い滞在だったのでデータの追加購入はしませんでしたが、アプリから簡単にできる使い勝手と安心感はGood。
尚、インターネット共有(テザリング)も問題なく使えました。
コスパ的には最安値ではないものの、使い勝手の良さと通信の安定感はさすがといったところ。
SimOptions - Smart Traveller eSIM
さまざまな周遊eSIMを扱っている SimOptions、日本では聞いたことがない方も多いかもしれませんが、けっこう魅力的なeSIMが揃っています。
公式サイトのベトナム向けeSIMページでは、現在3つのeSIMが販売されています。

この中で一番コスパが良い「Smart Traveller eSIM」をチョイス。
SimOptionsのサイトでのeSIM購入方法については以下の別記事で詳しく画像付きで解説しています👇

また、この Smart Traveller eSIM については、以前マレーシアでも実際に使っています👇
アジアの複数の国をカバーしているので、アジア周遊に便利なeSIMで、日本やアメリカでも利用できるため、日本在住or米国在住の方にとっては渡航前に自国で通信テストもできるメリットがあります。
ただし、SimOptionsのeSIMはあくまで一般的な旅行者向けSIMカードのようにパッケージ化されたeSIM商品なので、モバイルアプリで管理したりという利便性はなく、インストールもQRコードベースです。ただし、コスパは後述のNomadと同程度でなかなか良いです。
ベトナムでのデータ通信体験談
マレーシアで使ったときは全く問題なく使えた Smart Traveller eSIM ですが、ホーチミンでは最初から問題が発生しました。
空港到着後、数分で繋がりアンテナピクトも4本しっかり表示されていたのですが、その後すぐに圏外に。モバイル通信プラン自体のON/OFF、機内モードON/OFF、そしてiPhone自体の再起動までいろいろと試しましたが、直らず。とりあえずソラコムモバイルがあったのでネット確保は大丈夫でしたが、Smart Traveller eSIMだけだとなかなかのピンチでした。(前回マレーシアで問題なかったので油断していました。)
結局30分後に再度試すと VinaPhone の3Gに繋がりました。

ただ、SimOptions のサイトの情報ではベトナムでの現地ネットワークは Viettel のはずなので VinaPhone に繋がったのはちょっと不可解。
次の日からはちゃんと Viettel に繋がっていました。

場所によって5Gだったり4Gだったり。中心地以外は4Gがほとんどだったと記憶しています。
ただ、5Gでも4Gでもとりあえず通信速度のばらつきがすごかった。
以下スピードテストの結果ですが、アップロードは基本安定しているものの、ダウンロードのレンジが 1Mbps〜41Mbps。

使っていた体感としてもPingが300ミリ秒超えで遅延もそこそこあることからも、そこまで速い感じはせず。
だいたい問題なく使えることは使えていましたが、たまにパケ詰まりかと思うくらい遅い時はありました。
圏外になって全く使えなくなる、ということは一番最初の空港の時以外はなかったので、まあそこはギリギリ合格点。
この通信速度の不安定さがたまたまなのか、よくあることなのかは不明ですが、安定感はソラコムモバイルやNomadの方が上でした。
もちろんコスパはこちらの Smart Traveller eSIM の方が良いので、試してみる価値はあります。
尚、こちらのeSIMもテザリング(インターネット共有)利用可能でした。
Nomad eSIM
Nomadも海外旅行者向けのプリペイドeSIMサービスの一つで、デザインや操作性、使い勝手はトップクラス。

自分も過去にシンガポールとタイで利用しましたが、不具合など一切なく、信頼できるサービスと感じています。そしてウェブサイトやアプリも非常に洗練されていて使いやすいです。
データプランと料金
Nomadはサービスの使い勝手もさることながら、料金も良心的。ベトナム向けデータプランは、
- 1GB / 7日間: $5
- 2GB / 7日間: $10
- 3GB / 7日間: $13
- 5GB / 7日間: $15
の4つとなっています(執筆時点)。現時点ではかなり安い方かと思います。

5GBではGB単価が$3まで下がります。
個人的には上記のクーポンコード使って5GBプランを$12で購入できれば、円安といえどコスパ悪くないのでは、と思います。
NomadのeSIMの具体的な購入方法、そしてインストールから利用開始までの流れについては別途記事にしています👇

英語のみではありますが、直感的なのでまったく難しくはないです。
Nomadもソラコムモバイル同様、iPhoneであればQRコードなしでアプリから直接eSIMのインストールが可能です。
ベトナムでの通信品質
渡航前日にアプリの Activate Data Now を押してプランを開始、ホーチミン到着時にiPhoneの設定からこのNomadのeSIMを「データ通信」に設定。以上で使えるようになります。
まだ機内でしたがなんのトラブルもなく、すんなりデータ通信ができるようになりました。ここは一番ほっとする瞬間。
Nomad eSIMのベトナムでの接続先はViettel、表示はLTEです。

ホーチミンとダナンにそれぞれ数泊しましたが、エリア的にはまったく問題なしでした。圏外になったのは確かダナンの空港に着陸した直後、駐機場までの区間だけだったと記憶しています。
そして肝心のスピードテストの結果が下の画像の通りです。左から、ホーチミン市内(1区)、タンソンニャット国際空港(SGN)、そしてダナン市内(ヒルトン近く)です。

通信速度にある程度のばらつきはあるものの、旅行用としては十分実用的なスピードが出ていたように思います。あまりアップロードを使う機会はなかったのでダウンロードメインの体感ではありますが、終始快適に使えました。
香港経由のローミング通信ということで Ping は100ミリ秒超でていますが、ソラコムモバイルやSimOptionsのeSIMよりは小さい値ですし、そこまで遅延を感じることはなかったです。
ベトナム国内での移動には大変便利なGrab(配車アプリ)もしっかり使えましたし、Google MapsやYouTubeも全く問題なし。
インターネット共有(テザリング)もできました。
思いのほか快適に使えたのプラス、(後述する)併用していた楽天モバイルの海外ローミングがめちゃくちゃ不安定だったこともあり、今回購入した3GBプランを完全に使い切ってしまったので、5GBプランを最初から買っとけば良かったと最終日に少し思いました。
Nomadの場合は以下のようにアプリでデータ残量をチェックしたり、データの追加購入も簡単にできます。

Nomad eSIM まとめ
購入するなら5GBプランあるいは3GBプランがコスパ的にもオススメ。そして割引クーポンコード「ESIMDB3」の利用をお忘れなく。
GB単価が3ドル(450円ほど)程度 or それ以下だと他のトラベルeSIMと比較してもかなり良い方だと思いますし、今回実際にホーチミン & ダナンで使ってみて実際の通信もローミングながらとても安定して十分使えると感じました。
また、アプリからデータ使用量を確認できたり、必要な場合はデータの追加購入もできますし、デザリングが使えるので複数端末でもOK。ということでしっかりこれらチェックボックスをクリアしている点も評価できます。
(番外編)楽天モバイルの海外ローミング
ゼロ円プランがなくなった楽天モバイルですが、自分は一応バックアップ回線としてiPhoneにeSIMで入れています。(今後解約するかもですが。)
2022年10月にホーチミンとダナンで使ってみたのですが、結論から言うと、かなりの高頻度で通信が切れ、ほぼ使いものになりませんでした。
電波はちゃんと Viettel が入っていて、4Gあるいは5Gと表示されてはいたのですが。

ホーチミンでもダナンでも場所関係なく、頻繁に通信が途切れる現象は変わらず。
スピードテストも2回に1回は中断されるレベルでした。

位置情報が重要なGrab(配車アプリ)は継続的なデータ通信が必要になるため、不安定すぎる楽天モバイルだと怖くて使えず、Google Mapsもレストランの写真がまったく読み込まれなくなったりと、さんざんでした。
(同旅行で併用していたNomadの方が圧倒的に安定していて快適でした。)
自分だけたまたまかな?と思い、Twitterで検索してみると、他にも同じような体験をした方もおられるようなので、少なくとも母数1ではなさそう。
楽天モバイルをすでに契約中の方は試しに使ってみるのは全然良いと思いますが、プランBはしっかり考えておいた方がいいように思います。
利用用途や予算に応じてeSIMを選択すべし
ソラコムモバイルの場合は購入から利用開始まで本当に簡単で、かつめちゃくちゃ速くはないものの、現地の通信も安定している印象。したがってちょっとだけ割高でも利便性や安定性を求める旅行者向けと言えそうです。日本発のサービスですし。
SimOptions の Smart Traveller eSIM は現地での通信にやや不安はあるものの、コスパに優れており、また日本含め複数国で利用できるというメリットがあります。
Nomadは利便性、コスパ、現地での通信品質すべてにおいてバランスが取れており、ベトナム旅行用eSIMとしては誰にでもオススメできるサービスです。
自分の場合、地図アプリやGrabを使ったり、あとはソーシャルメディアやメールやSlackを確認するくらいのインターネット利用なのでハードルは低いかもしれませんが、ローミングeSIMでも特に問題なく使えるなーと思いました。
ベトナムについては今後も他のeSIMも試して情報をアップデートしていきたいと思います。
補足
現地SIMも買って通信品質を比較してみようかとも思いますが、店に行って、選んで、買って、SIMトレイを開けて、SIMを入れ替えて、諸々設定して、元のSIMを無くさないように保管して、という一連の作業がもう面倒で結局購入しませんでした。eSIMに慣れたら物理SIMカードってほんと面倒に思えてきます。
ただ、ベトナムの電話番号が必要、という方は現時点ではプリペイドeSIMでそのような選択肢はないはずなので、現地で物理SIMを購入する必要がありそうです。
海外旅行時のeSIM検索は esimdb で
旅行先の国や地域から、簡単にプリペイドタイプのトラベルeSIMを検索・比較することができます。ぜひ利用してみてください 👇
