グローカルネットの新サービス「Glocal eSIM」を徹底検証・レビュー
海外旅行者向けのトラベルeSIM「Glocal eSIM」の内容と気になる点をまとめました。
先日(2022年9月下旬)、海外旅行向けWiFiルーターレンタルなどのサービスを展開するグローカルネットが「Glocal eSIM」という新サービスをリリースしたということで、さっそく中身を検証・考察してみます。
尚、この記事ではグローカルeSIMを、esimdb.com で検索できる他のトラベルeSIM(海外旅行者向けプリペイドeSIM)と比較することで、そのコスパや利便性を相対的に判断しています。
Glocal eSIM のサービス概要
記事冒頭でも書いた通り、Glocal eSIM は海外WiFiルーター(モバイルWiFi)レンタル / クラウドWiFi といったサービスを展開する株式会社グローカルネットが2022年9月に新しく提供を開始した新サービスです。
メインとする市場は若干違うかもしれませんが同業他社と言えるであろうグローバルWiFiも「ワールドeSIM」というeSIM商品を昨年リリースしていますし、テレコムスクエアも「シムピア」というサービス名でeSIM商品(Wi-Ho! eSIM)を展開しており、海外WiFiルーターレンタルを運営するところはどこもeSIM商品を投入してきている、という印象です。
(尚、ワールドeSIMのサービス内容や考察をまとめた記事も以前書いていますので、参考までに。)
これはもう個人的には当然といいますか、必然のことで、海外旅行向けeSIMのメリット・デメリットをまとめた記事でも書いた通り、eSIMに魅力的なメリットがあるのは明らかで、かつApple主導でスマホがどんどんeSIMメイン・eSIMオンリーになりつつある中、今後海外旅行時にわざわざモバイルルーターをレンタルする人は減り、eSIMを利用する人が増えていくのは(個人的には)かなり予想できる未来だと思うわけです。
もちろんラーニングカーブといいますか、eSIMがさらに浸透するにはある程度まだまだ時間がかかり、また技術的に改善されるべき点もいろいろあるのは事実ですが、大きな流れとしてeSIMの利用者が増える可能性はかなり高いと言えるのではないでしょうか。
その中で海外WiFiレンタル事業者がeSIM商品をラインナップに取り入れてきているのは必然のように思います。
また、今後eSIMを取り入れたWiFiルーターレンタル、のようなハイブリッドも出てくるかもしれません。
話が脱線しましたが、Glocal eSIM は現在世界60以上の国と地域で利用でき、データ通信のみ(音声サービス/SMSはなし)というサービスのようです。
利用の流れとサービス内容で気になる点
Glocal eSIMの利用の流れは以下の画像の通り。
おおまかな流れは至って普通ですが、個人的には注意事項として記載されている部分がかなり気になりました。
まず、利用開始3日前までに申し込みをする必要があるということ。なので渡航前日とかには購入できず、物理SIMカード等と同じように事前にちゃんとオーダーしておかないといけない、ということになります。あまり他のサービスでは見ない制約です。
また、プロファイル(eSIMと同義)は利用開始日2日前の18時頃にメールで届くそうです。一般的には購入した後すぐにeSIMがインストールできるようになるサービスが多いので、ここもかなり珍しいと言えるでしょう。
次にFAQセクションに書かれている部分で気になる点ですが、
データ使用量やデータ残量の確認が現時点ではできない、というのはかなり衝撃的でした。準備中ということで、今後対応されるようです。
また、データ容量の追加購入はできないという点も重要です。新しくeSIMを購入する必要があるとのことですが、上で書いたように「利用開始3日前までに申し込みをする必要がある」とのことなので、データが足りなくなってすぐ買えない、ということだと理解しました。
また、テザリング(インターネット共有)については国によりけり、という内容。
あとサービスにはまったく関係ないですが、「購入」ではなく「申込み」というワードを使っているのはなぜなのか、少し気になりました。
注文フォーム
参考までに、実際の注文フォームはこんな感じでした↓
利用開始日と終了日を選択、その後タイプ(単国 or 周遊)を選び、具体的なプランを選択。その次に契約者(購入者)情報を入力する、といった流れです。
支払い方法は現時点ではクレジットカードのみ。
料金・プラン
グローカルeSIMの料金ですが、大きく分けて、
- 初期費用
- 利用プランの料金
という2つがあります。
ちなみにサイトのトップには「日本でも海外でも通信使うならGlocal eSIM」というキャッチフレーズが書かれているのですが、どうも日本では今のところ使えない模様。
初期費用
そもそもeSIM(プロファイル)発行に費用がかかるというのはグローバルで見るとほとんどないので、珍しいです。事業者側にコストがかかる部分であることは確かですが、通常はデータプランの料金に内包する形で別途利用者に請求はしないことがほとんどです。
Glocal eSIMの場合、通常770円のプロファイル発行料金が今はキャンペーンということで無料になっています。
*ただし、利用開始日の2日前18時までにキャンセルしても、キャンセル料として770円がかかると注意事項に記載があるので要注意。2日前18時以降のキャンセルは不可(返金なし)とのこと。
利用プランと料金
プランには周遊プランと国別プランの2タイプがあり、それぞれプランと料金は以下の通りです。(2022年9月執筆時点)
周遊プランはアジア、ヨーロッパ、オセアニア、中華圏、アメリカの5種類。
単国プランについては上記は一部で、実はもっとあるようで、詳細は料金表PDFというものに載っていました。
プランとしては一部8日間や12日間というものもありますが、基本的には15日間と30日間タイプがメインといった印象です。
コスパに関する考察
ヨーロッパ
ざっとプランと料金をみたところ、ヨーロッパについては
- 15日間/6GBプラン: 単国で3,760円(周遊で4,960円)
- 30日間/8GBプラン: 単国で5,960円(周遊で6,960円)
という価格なので、これを他のヨーロッパで利用できるプリペイドeSIMと比較すると、けっこう割高、という印象です。
ヨーロッパで使えるオススメのeSIMについては以下の記事で詳細にまとめていますが、他のeSIMサービスだと普通にGB単価$2前半であります。
もちろん日本語で買える、使えるという価格以外の部分の評価もできますが、同じく日本語で買える、使える、サポートを受けられる日本発のソラコムモバイルも価格は同程度か若干安いくらいですので、Glocal eSIMを選ぶこれといった理由が見当たらないというのが正直なところ。
アジア
Glocal eSIMはアジアではベトナム、タイ、韓国、台湾あたりが比較的やすそうです。
- ベトナム: 8日間/15GB = 1,760円
- タイ: 8日間/5GB = 1,760円
- 韓国: 5日間/10GB = 2,560円
- 台湾: 8日間/6GB = 2,360円
ベトナムはグローバルでみてもトップクラスに安いですね。15GB使えて円安の中2,000円を切っています。
韓国もかなり安い方だと思います。
タイ、台湾についても低価格ではありますが、探せば他のeSIMでもっと安いのはあります。
その他の地域
北アメリカ、オセアニアについてはヨーロッパ同様、他サービスと比較すると割高でコスパはイマイチ、という印象です。めっちゃ高いというわけでもないですが。
以上、Glocal eSIMのサービスの内容や気になる点、そしてプランと料金についてのまとめでした。
再度になりますが、これはあくまで個人的な考察なので参考程度とご理解ください。また、内容は2022年9月の執筆時点での情報となります。