海外旅行にはeSIMが人気!使い方や設定方法をわかりやすく解説します
海外旅行先でのネット環境としてeSIMが人気の理由、そしてどうやって使うのかをわかりやすくまとめました。
2020年からおよそ3年にわたって続いたコロナ禍もようやく終わり、様々な規制が撤廃されて訪れたポストコロナ。自由に海外旅行に行くことができるようになった今、旅行先のインターネット利用においてじわじわと人気が出ているのが「eSIM」です。通常、「旅行eSIM」や「トラベルeSIM」と言われます。
この記事では、この新常識になりつつあるeSIMを海外旅行時に使いたいと思っている方向けに、メリット(なぜ)& 使い方(どうやって)を中心に解説します。
とはいっても長ったらしい説明ではなく、要点をおさえて簡潔にわかりやすさを追求しました。
尚、私は2019年からこれまでのべ50回以上、海外旅行時にeSIMを使ってきましたが、コロナ後は本当に周りでも利用者が増えてきている印象です。
eSIM(イーシム)ってなに?
eSIMとは簡単にいうと「SIMカードのデジタル版」です。
これまでスマホに挿さっていたSIMカードというチップが、そのガワがなくなって中のデータファイルだけになったもの、です。
昔はCDを買って音楽を聴いていたのが、今はディスク不要でスマホで音楽が聴けますよね?
昔はカセットを差し込んでゲームを遊んでいたのが、今はニンテンドースイッチにソフトをダウンロードできますよね?
それと同様に、これまで物理的なモノが必要だったのが、データというデジタルなものだけで色々できるようになったという、いわばハードウェアからソフトウェアへの転換の一例です。
SIMカード = データファイル + 箱
eSIM = データファイルのみ
といったイメージでOKです。
eSIMについてより詳しく知りたい!という方は以下の記事をどうぞ。ただ、今回は「海外旅行におけるeSIMについての基本」の解説記事になるので、飛ばしてもらっても全然OKです。
尚、海外旅行でeSIMを使いたいという方は、当然ながらお持ちのデバイスがeSIMに対応していることを確認しておきましょう。最近数年で出てきた機種であればほぼ全て対応しているはずです。iPhoneではXS以降すべての機種がeSIM対応となっています。
加えて、海外旅行で(日本で使っている回線ではない)eSIMを利用するにはSIMロックがかかっていないSIMフリーであることも必須条件になります。iPhoneでは「設定」>「一般」>「情報」> SIMロックから簡単に確認が可能です。
海外旅行でeSIMを使うメリット3つ
ここでは他の選択肢(例えばWiFiレンタルや従来の旅行者用プリペイドSIMカード)と比較しながら、「eSIMだと海外旅行時になにがどう便利なのか」をポイントをおさえながら説明します。
メリットとしては大きく以下の3つが挙げられます。
- 紛失の心配がなく、お手軽
- すぐ買えて、すぐ使える
- 種類が豊富でコスパが良い
ではそれぞれ具体的な解説に続きます。
1️⃣ 紛失の心配がない = 手軽で安心
まず、旅行者向けのプリペイドSIMカードと比較すると、eSIMではそもそもSIMの差し替えが不要です。もちろんこの差し替え作業自体が不要になるというメリットはもちろんのこと、元のSIMカードを失くす心配もありません。
WiFiレンタルにおいてはWiFiルーターの紛失は一番気をつけないといけない点ですよね。万が一紛失した場合はかなりの費用がかかってきますし、それを防ぐにも安心保険パックのような追加費用が発生します。
eSIMであればそういった紛失の心配が不要で、必要な操作もスマホ上で数回タップするだけ。もちろん端末(スマホやタブレット)以外何もいりません。
2️⃣ いつでもどこでも買えて、準備が簡単で早い
SIMカードにせよWiFiレンタルにせよ、注文して、届くまで待つかあるいは受け取りが必要になります。WiFiレンタルの場合は返却も必要ですね。
もしSIMカードを現地に着いてから買うとしても、カウンターで並んだりお店を探さないといけない場合もあります。
実際の使い方のセクションで詳しく説明しますが、eSIMの場合はオンラインで購入してすぐにそれを自分のスマホなりタブレットなりにインストール(追加)することができます。スマホゲームなどでアプリ内課金したらそのアイテムなりサービスがすぐ使えるようになるのに似ています。
なので購入してから届くまで待つ必要もなく、すぐに使える準備が整います。
海外旅行前に準備しておくの忘れた!なんてことがもしあっても空港で飛行機への搭乗を待っている時間でもサクッと購入してインストールできますし、なんなら海外に着いてから空港やホテルのWi-Fiを使って購入してすぐ使い始めることもできます。
3️⃣ 種類が豊富で、値下がり傾向にある
コロナ前はまだまだ旅行eSIMの種類が少なかったのですが、2023年からは一気に増えて多種多様な旅行eSIMがでてきており、今後もっと増えるはずです。
旅行eSIMの検索・比較サイト eSIMDB をみればすでにかなりの数があることがわかると思いますが、たぶん間違いなく日本で売っているSIMカードやWiFiレンタルの種類より多いはずです。
以下は一例ですが、フランスで使える旅行eSIMでは60以上のサービス、そして1,700超のプランがヒットします。
やはりeSIMは完全にデジタル商品という点が、商品展開やサービスリリースのしやすさにつながっているのだと思います。
また、価格についてもグローバルレベルで競争が激化していることから、全体的に料金が下がってきている傾向にあり、すでにWiFiレンタルより安い場合がほとんど。
旅行者向け(ツーリスト)プリペイドSIMカードについても今後どんどんeSIM版が出てくるはずです。
補足: よくある議論
実際よくあるのかは不明ですが、想定として。
Q. WiFiレンタルだと複数人でシェアできるから割安でしょ
A. 料金だけ考えるとそういうケースも十分あるでしょう。ただ、もしそのWiFiルーターが何らかの原因で使えなくなったら?グループの一人が不用意に大量のデータを使ってしまって、止まったり低速になってしまったら?
eSIMであれば別々に購入して各々が自分のものを使うことになりますが、万が一グループとはぐれてもWiFi届く届かない関係なく使えますし、不具合が起きてもすぐ代わりのものを購入することができます。
また、最近は本当に旅行eSIMの種類も増え、価格も下がってきているので、利便性とコスパのトータルで検討することをおすすめします。そしていざという時のバックアップとしても旅行eSIMを頭の片隅に。
Q. 日本の回線はeSIM使ってるから海外でSIMカード買っても入れ替える必要ないですよ
A. もしSIMカードの扱いが面倒でなく、かつSIMカードの方がメリットが多い場合はわざわざeSIMを使う必要はあまりないでしょう。
*ただ、遅かれ早かれスマホからSIMカードスロットは消えていくと思います。iPhoneはすでに米国モデルから徐々にeSIMオンリーになっていますし、他のメーカーも追随するはずです。
実際の使い方と必要な設定
ここでは旅行eSIMを使う際の、実際の流れを説明します。
おおまかな流れ
大きく分けると以下の3ステップでeSIMを使えるようになります。
- 渡航先や必要なデータ容量から好みのeSIMプランを購入
- 購入したeSIMをデバイスにインストール(追加)
- 海外に着いたら必要な設定をしてインターネットを利用
ここで(1)と(2)は出国前に日本でやっておくのが一般的です。(もちろん空港やホテルのWiFiなどを使ってインターネットさえあれば現地でもできますが。)
インストールまで国内でしておけば、海外に着いたら設定するだけでOK。
*尚、eSIMサービスによってはまずeSIMをインストールし(無料)、その後に渡航先に応じたプランを購入するという、(1)と(2)が逆のものも一部存在します。
eSIMをインストールする
すでに日本で使っている回線でeSIMをインストールしたことがある方は大体のやり方はおわかりかと思いますが、たぶんここが慣れるまではトラブる可能性が一番あるステップではあります。
eSIMを端末(スマホやタブレット)にインストール(追加)する方法は大きく分けて以下の3つあります。
- QRコードを使ってインストールする
- アクティベーションコードを入力してインストールする
- モバイルアプリから直接インストールする
圧倒的に一番多いのが(1)のQRコードを使う方法です。
(3)のモバイルアプリから直接インストールできるものは一番簡単ではありますが、できるアプリ(サービス)が非常に限られています。
*インストールする、追加する、アクティベートする、などどれも同じ意味とご理解ください。
QRコードを使う方法
QRコードを使ってeSIMをインストールする方法については以下の別記事に画像付きで手順を解説していますので、もし初めての方は参考にご覧ください。
アクティベーションコードを使う方法
この方法を使うケースは限定的で、使っている端末でQRコードを写真から読み込めない(対応していない)、そしてQRコードを表示する別の画面もない、という場合です。
以下がiPhoneでの手順ですが、Androidについてもだいたい似たようなやり方です。
モバイルアプリから直接インストール
これができるeSIMは限られており、執筆時点ではソラコムモバイル、Airaloなどアプリが提供されている一部のeSIMサービスのみです。
海外に着いてから行う設定
厳密にいうとeSIMや端末によって必要な設定は少し異なりますが、ほとんどの場合、
- 旅行eSIMの回線を有効化
- データローミングの設定(不要な場合もあり)
- モバイルデータ通信への設定(回線の切り替え)
の3つです。
あと追加でAPN(アクセスポイント名)の設定が必要なeSIMもあります。
すべてスマホの設定画面から数タップでできるので、まったく難しくないです。
*OSのバージョンや機種によって若干画面や設定方法が異なる場合があります。
利用したいeSIMの回線を有効化
【iPhoneの場合】
「設定」> 「モバイル通信」と進み、利用したいeSIMを「SIM」というセクションから選択します。あとは「この回線をオンにする」をオン(緑色)にします。
これで回線の有効化は完了です。
【Androidの場合】
Androidも方法はiPhoneとかなり似ています。
インストールされたeSIMは SIM 画面の「ダウンロード型SIM」というセクションに表示されるので、利用するeSIMをタップしてから「SIMを使用」をオンにします。
これでそのeSIMを有効にすることができます。
データローミングの設定
*ローミング通信を利用しないeSIM、あるいはスマホ側(OS側)で自動設定がされる場合はこの設定は不要です。
eSIMを購入すると必ず必要な設定についてメールなどに書かれているはずなので、まずはそこをしっかり確認しましょう。
「データローミングを有効に設定」と書かれておれば、以下の手順で設定画面から「データローミング」をオンにします。
【iPhoneの場合】
「設定」>「モバイル通信」と進み、利用する旅行eSIMを選択します。画面の下の方に「データローミング」という設定項目があるのでそこを有効化します。
【Androidの場合】
「設定」>「ネットワークとインターネット」>「SIM」と進み、そのSIMの設定画面から「ローミング」という設定項目を有効化にします。
モバイルデータ通信に設定する(回線の切り替え)
モバイルデータ通信(インターネット)に利用する回線を、もともと日本で使っていたSIMやeSIMから、海外旅行用のeSIMに切り替える作業です。
切り替えるタイミングは、例えば飛行機に乗ってからスマホを機内モードにする前後や、現地の空港到着前後などが一般的かと思います(自分はそうしています)。日本の回線を使ってインターネットを使う必要がなくなった後ならいつでもOKです。
【iPhoneの場合】
「設定」>「モバイル通信」と進み、一番上にある「モバイルデータ通信」に利用したいeSIM回線を割り当てるだけ。これだけでOKです。
*「デフォルトの音声回線」については、渡航先でも日本の電話番号で電話を受信あるいは発信したい場合はそのまま変更する必要はありません。逆に国際電話など意図せず料金が発生するのを防ぎたい場合はモバイルデータ通信同様に旅行eSIMの回線へ切り替えるのもアリです。
【Androidの場合】
「ローミング」の上の「モバイルデータ」という設定項目をオンにする、以上です。
よくある質問・疑問
Q: iPhoneの「モバイルデータ通信の切替を許可」はどうすればいい?
A: 海外でトラベルeSIMを利用する場合、一般的には「モバイルデータ通信の切替」はオフにしておいた方がいいでしょう。この設定をオンにすると、電波状況等に応じて自動でモバイルデータ通信に使用する回線が切り替わります。そのため、例えば日本で使っている回線が有効になっており、かつその回線のデータローミング設定が有効になっている場合には高額な海外ローミング料金が発生する可能性もあります。
Q: iPhoneでデータ容量の減りが速い(意図せずたくさんのデータが使われる)
A: いくつか対策が考えられますが、まず一つ目はモバイル通信の設定画面で「Wi-Fiアシスト」を無効にすること。これが有効になっているとWi-Fiの速度が遅かったり電波が悪い場合に自動的にモバイルデータ通信を使用するため、Wi-Fiに繋がっていると思っていても実際はモバイルデータ通信が使われてしまうことがあります。また、念の為Wi-Fiアシストの少し下にある「iCloudバックアップ」がオフになっていることも確認しましょう(デフォルトではオフのはずです)。
尚、iOS 18からは回線ごとの各アプリのデータ使用量を簡単に確認することができるようになったので、トラベルeSIMでデータを多く使っているアプリを特定することも容易になりました。必要であればそのようなアプリの使用を一時的に抑えるなどの対策も検討価値ありです。
まとめ
この記事では「eSIMとはなにか」、「他の選択肢と比較して旅行eSIMを使うとどういうメリットがあるのか」、そして「実際の使い方や設定方法」をメインに解説しました。
箇条書きでざっくりまとめると、
✅ eSIMはSIMカードの中身であるデータ部分(SIMカードのデジタル版)
✅ 海外旅行にeSIMを使えば準備が簡単で早く、紛失の心配もない、そして最近は種類も豊富で値段も安価になってきている
✅ 実際の利用は「買って、インストールして、設定する」という流れ。かつ設定も数回タップするだけでOK
です。
最後に、「どのeSIMやプランを選べばいいか?」という疑問が出てくると思いますが、これはけっこう奥が深いトピックなので、気になる方は以下の記事を参考にしていただければと思います。
細かい部分は一旦置いておくと、どれだけのデータ容量(ギガ)が必要で、どれくらいの値段なら購入してみようと思うか、という考え方になるように思います。(もちろんそれ以外を重要視する人や場合もあると思いますが、一般論として。)
これについては旅行の期間、滞在中に使うアプリや頻度、そしてWi-Fiの利用環境など総合的に考えた方が良いですが、そうはいっても普段ギガなんて気にしていない人にはなかなか予測が難しいのも事実です。
ざっくりとした目安としては、1日500MB〜1GBあれば十分足りるという人が多いんじゃないかと思いますので、これを一つの参考にしていただきつつ、実際にどんなデータプランがいくらくらいであるのかを探す時は、旅行eSIM検索・比較サイト eSIMDB で自分の旅行スタイルや通信ニーズに最適なものを探してください。
eSIMを実際海外で使うのは意外と簡単ですし、一度使えば誰でも要領をつかめると思いますので、ぜひチャレンジして便利さを体験しましょう!